日本記念日協会(※1)の5月27日の記念日として登録されているものに「小松菜の日」があった。
由緒を見ると、大阪府堺市の小松菜を専作している有限会社しものファーム(※2)が制定したものだそうだ。
小松菜の消費拡大が目的で、日付は5と27で「小松菜」と読む語呂合わせから。
小松菜はカルシウムがほうれん草の5倍も含まれ、ビタミンも豊富など栄養面の評価の高い野菜として知られている。…とあり、いわば、今はやりのPR用の記念日ではある。
小松菜(コマツナ、学名Brassica rapa var. perviridis。※3のここも参照)はアブラナ科・アブラナ属に属するツケナ(漬菜)類(野沢菜やチンゲンサイなど非結球葉菜の総称)の一種ある。
ツケナ(漬菜)は、字のごとく、広義には漬物に用いるアブラナ科の葉菜類をさすが、農学上ではアブラナ(油菜)(Brassica campestris L.(n=10)のうち、結球種のハクサイ(※3のここ参照)、根を利用するカブ(※3のここ参照)、種子を油料とする在来ナタネ(※4参照)を除いた葉菜類の総称だそうである(ここ参照)。
最も歴史の古い非結球性菜類の一種といわれる小松菜の歴史は諸説あるようだが、中国から渡来したカブの一種「茎立菜(クク〔キ〕タチナ)」がその祖先であり、ソノカブの子孫が各地に広がり、一部は葉を食べる漬け菜となった。
万葉集の東歌には、茎立(ククタチ)を詠んだ歌がみられる(※5:「たのしい万葉集」巻第十四参照)。
3406:「上つ毛野(上野)佐野の茎立ち(くくたち)折りはやし我(あ)れは待たむゑ来とし(今年)来ずとも」(作者: 不明)
上野国は、現在の群馬県。東山道の一国で、もと下野国(現在の栃木県)とともに毛野国と称したが,のち上下に分かれ,上毛野 (かみつけぬ。上毛とも略する) となった。
「茎立」とは薹(とう)(花をつける台のような茎)のたったアブラナ・カブなどのことで、両毛地区で古くから栽培されていた伝統野菜で、現在は栃木県佐野市付近で盛んなようだ。
秋に播種(はんしゅ)し、冬から春にかけて伸びてくる植物の若芽を掻き取って食用とする事から「かき菜」の名がついたと言われている。
この歌の意味は、※5:「たのしい万葉集」巻第十四のここにも書かれているが、古代の歌のこと、「茎立ち(ククタチ)」の「クク」には『古事記』・『日本書紀』の神産み神話に登場する木の神(木霊)「ククノチノカミ」とのかかわりもあるようだが、そのことは、以下参考※6を参照。
とにかく、アブラナ属の植物が延ばす花芽(茎葉の茎)は、古くから春先の野菜として重用されてきたようだ。
「茎立(ククタチ)」は、やがて各地の風土に合わせて改良され、それぞれの地に適した野菜となって定着してゆくが, そのひとつ江戸の小松村のあたりを流れる小松川(この川が江戸へつなるとして 「 江戸川 」とよばれるようになった。現:東京都江戸川区)付近で、それを品種改良して栽培されていた。
そのことは、江戸時代後期文化・文政期(1804年から1829年、化政文化の時期)に編まれた武蔵国の地誌『新編武蔵風土記稿』」には、「菜は東葛西領小松川辺の産を佳作とす。世に小松菜と称せり」とあり、小松菜が広く江戸っ子に賞味されていたことがわかるという。
また、享保4年(1719年)に、鷹狩りに来た将軍が鷹狩りの昼食時に何も料理するものがなくて、東・西小松川村あたりでとれた冬菜の入った餅のすまし汁をさしあげたところたいそう喜ばれ、そのときに地名から小松菜の名がつけられた、・・という話があるようだが、八代将軍吉宗が命名したといわれているが五代将軍綱吉という説もあるようだ(参考※7のこまつなくん豆知や地域情報を参照)。
江戸川区西小松川町にある浄土宗寺院「仲台院」(ここ参照)は鷹狩りに来た将軍が昼食をとったりする御膳所(休息所)という。江戸川区にある香取神社境内には、小松菜ゆかりの里という石碑もある(ここ参照)。
現在の江戸川区のほぼ全域は、江戸時代には<ahref= https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%9F%E6%88%B8%E5%B9%95%E5%BA%9C>幕府の御料所(※7のここ「葛西御厨」も参照)であり、江戸に暮らす人々、さらには徳川将軍家に対して、たいへん重要な役割を担っていた。その役割のひとつが“野菜の供給地”として、そして、もうひとつは“御鷹場”つまり、鷹狩を行うために設けられた“狩猟場”としてであった。「小松菜の命名伝説」には、そんな江戸川区の歴史が背景にあるようだ。
「さしこもる葎(むぐら)の友か冬菜売り」松尾芭蕉
この歌は、深川芭蕉庵近くの小松川辺りでとれた小松菜をうたったもので。「さし籠る葎(むぐら)」とは、葎の宿の意で、隠遁している者のすみかをいっており、ここでは芭蕉庵のことを言っているそうだ。
深川の草庵で冬籠りをしている。そんなところへ冬菜売りが菜を売りに来てくれると、旧友に会ったような気分になる。といった意味だそうだ(句の解釈などは参考※8:芭蕉dbのここ参照)。
この冬菜が小松菜だった。「冬菜」は小松菜の冬の季語にもなっている。
「摘みそへよ膳のむかひの鴬菜」 加舎白雄(かやしらお。江戸時代の俳人)
「小松菜」は古くから収穫期によって冬には「冬菜」・「雪菜」、初春に出回るまだ若くて小さい菜は「鴬(うぐいす)菜」とも呼ばれており、春の季語となっている。
今、江戸川区の小松菜収穫量は、都内では一位を誇っているようで、同地域の特産野菜ともなっている。
「小松菜」は、最近は愛知県や大阪府などでの生産も行われているようだが、国内生産量のうち関東の生産量が大半を占め、東京都も生産量トップ2 に入っている。ちなみに、※9:「野菜ナビ」の、2013年 野菜の作付面積ランキングを見ると、
1位、いも 7万9,700ヘクタールに対して小松菜作付面積6,450ヘクタールと21位にあり、じゃがいもの作付面積を100%として、8%を占めているようだ。
そして、※9:「野菜ナビ」の小松菜の収穫ランキングを見ると上位ベスト10に入っている埼玉県/東京都/茨城県/神奈川県/群馬県/千葉県の6県で51,8%のシェアを占めている。その詳細は以下のようになっている。
(出荷量ベース、単位トンの後ろの数字は全国シェア率)
1 位 埼玉県 14,600トン 16.03 %
2 位 東京都 7,810トン 8.57 %
3 位 茨城県 7,520トン 8.25 %
4 位 福岡県 7,460トン 8.19 %
5 位 神奈川県 6,120トン 6.72 %
6 位 群馬県 6,000トン 6.59 %
7 位 千葉県 5,120トン 5.62 %
8 位 大阪府 3,840トン 4.22 %
9 位 京都府 3,350トン 3.68 %
10 位 兵庫県 2,490トン 2.73 %
これは、農林水産省の2013年(2014年12月15日公表)の作物統計の都道府県別のこまつな出荷量(※10参照)から作られたものである。
大阪が上位8 位に食い込んでいるし、兵庫がギリギリベスト10に入っているのは~結構頑張っているな~。
小松菜の栽培は関東一円から全国へ広がり各地でいくつかの系統が誕生している。そして、地域や収穫時期で呼び名が異なり、新潟の「女池菜(めいけな)」や「大崎菜」(※11参照)、福島の「信夫菜(のぶな)」(※12参照)なども小松菜の仲間である。
大阪府内には伝統的に優れた栽培技術で生産された、泉州の「水なす」や「大阪ふき」のように全国にも誇れる農産物がたくさんあり「なにわ特産品」として選定されているが、平成18年(2006年)からは「大阪こまつな」が加えられ、大阪府内全域で栽培されるようになり、それがあったからかどうかは知らないが、上記のような小松菜のランキング入りを果たす結果となったようだ。
栄養面では、カロテンやカルシウムを豊富に含んでおり、葉にやや丸みがあり、表は濃い緑色で裏はやや薄い緑色が特長だそうだ (冒頭の画像が「大阪こまつな」)。詳しくは※13:「阪府/なにわ特産品」参照。
ちなみに、「ツケナ」(漬菜)はアブラナ科の非結球葉菜の総称で、交雑が容易なため、いまでは国内で100近い品種が作られているようで、よく知られるところではノザワナ(野沢菜)、ミズナ(水菜)、ミブナ(壬生菜)などもその仲間である。
野菜には体によい栄養がたっぷり詰まっているというので、近年、生活習慣病予防に効果があると人気上昇中のようだが、それぞれの野菜に実際にどんな栄養素が含まれているかを知っていることは健康管理には役立つことだろう。ただ、栄養成分といっても色々種類が多いのでどんな野菜を取ればよいかなどは、人によって違ってくるだろうから難しい。
冒頭、日本記念日協会の今日の「小松菜の日」の設定理由に、「小松菜はカルシウムがほうれん草の5倍も含まれ、ビタミンも豊富など栄養面の評価の高い野菜として知られている」…のでとあったので、先ずは、「小松菜」が、「栄養成分トップ30」の野菜に入っっているかを※9:「野菜ナビ」でみるとその中には入っていない。
では個別にみるとどうなるか ?
ではカルシウムについてみてみよう。可食部100g中カルシウム含有量を同じく、※9:「野菜ナビ」でみると、主要野菜の栄養成分の1位は、「こまつな/ゆで」で、含量は 150 mg で、「ほうれんそう/ゆで」が8位で含量69 mgとなっており、1位:「こまつな/ゆで」の含量を100%とした割合は「ほうれんそう/ゆで」の含量は46%。となっている。確かに、小松菜の含量はホウレンソウより多いが、5倍はちょっとおオーバーすぎるのではないか。
そこで、※9:「野菜ナビ」の野菜図鑑で、コマツナの栄養と効能を見ると、
「ゆで:βカロテン当量(3100mcg)、ビタミンC(21mg)、ビタミンK(320mcg)、カルシウム(150mg)、鉄(2.1mg)、食物繊維総量(2.4g).とあった。
「期待される効能」としては、
「小松菜はβカロテンやビタミンCを豊富に含んでいます。βカロテンは体内で必要な分だけビタミンAに変換され、皮膚や粘膜を保護する作用があるといわれます。また抗酸化作用(生体内で、酸素が関与する有害な作用を抑制するはたらき。このはたらきをもつ物質を抗酸化物質という抗酸化物質参照)により老化やがん(悪性腫瘍参照)、風邪,などの予防効果もあるとされ、ビタミンCとの相乗効果で免疫力アップや美容効果も期待できます。
カルシウムも多く含まれているので、歯や骨の健康維持にもよいでしょう。さらには貧血予防に効果がある鉄分や、血圧の上昇を抑制する作用のあるカリウムも含まれています。中でもカルシウムや鉄分の含有量は、ほうれん草の約2倍です。・・とある。ここでは、ちゃんとホウレンソウの5倍ではなく2倍と正しく書かれている。
この内容を見ていると、確かに、女性や、我々のような年寄りには効果がありそうだね~。
そういえば、下のようなブログもあった。
がん予防にはこれ! 3つの野菜が効果的 - アタナハクリニック意識して食べることにしようか。クックパッドにいろいろおいしそうな「小松菜レシピ」があったので、家人に見てもらっておこう。
【クックパッド】美味しすぎる!《小松菜レシピ》〈23選〉
冒頭の画像は、「大阪こまつな」※13:「大阪府/なにわ特産品」より借用。
参考:
※1:日本記念日協会
http://www.kinenbi.gr.jp/
※2:有限会社しものファームHP
http://www.sakai.zaq.ne.jp/shimonofarm/
※3:野菜図鑑-農畜産業振興機構
https://vegetable.alic.go.jp/panfu/zukanmokuji.html
※4:ナタネはどんな植物か 食農教育 2004年9月号 - 農文協
http://www.ruralnet.or.jp/syokunou/200409/09_natane.html
※5:たのしい万葉集
http://www6.airnet.ne.jp/manyo/main/home.html
※6:「茎立折りはやし」 菜の花供え「あなた」待つ : 地域 : 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/local/gunma/feature/CO004071/20140209-OYT8T00010.html
※7:花と野菜の豆知識・カレンダー:江戸川区公式ホームページ
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/san_jigyosya/nogyo_suisan/hana_calendar/index.html
※8:芭蕉db-芭蕉俳句全集:季題別順
http://www2.yamanashi-ken.ac.jp/~itoyo/basho/haikusyu/index_kidai.htm
※9:※野菜ナビ
http://www.yasainavi.com/
※10:農林水産省:作物統計 > 作況調査(野菜)
http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sakumotu/sakkyou_yasai/index.html
※11:とう菜 | 新潟・食品名産図鑑
http://nigata.japanfoods.net/specialty/touna/
※12:信夫菜 (しのぶな)|地方特産食材図鑑
http://g-foods.info/zukan/product/product_203.html
※13:大阪府/なにわ特産品
http://www.pref.osaka.lg.jp/nosei/naniwanonousanbutu/tokusanhin.html
食品成分データーベース-文部科学省
http://fooddb.mext.go.jp/search.html
旬の食材百科
http://foodslink.jp/syokuzaihyakka/index.htm
由緒を見ると、大阪府堺市の小松菜を専作している有限会社しものファーム(※2)が制定したものだそうだ。
小松菜の消費拡大が目的で、日付は5と27で「小松菜」と読む語呂合わせから。
小松菜はカルシウムがほうれん草の5倍も含まれ、ビタミンも豊富など栄養面の評価の高い野菜として知られている。…とあり、いわば、今はやりのPR用の記念日ではある。
小松菜(コマツナ、学名Brassica rapa var. perviridis。※3のここも参照)はアブラナ科・アブラナ属に属するツケナ(漬菜)類(野沢菜やチンゲンサイなど非結球葉菜の総称)の一種ある。
ツケナ(漬菜)は、字のごとく、広義には漬物に用いるアブラナ科の葉菜類をさすが、農学上ではアブラナ(油菜)(Brassica campestris L.(n=10)のうち、結球種のハクサイ(※3のここ参照)、根を利用するカブ(※3のここ参照)、種子を油料とする在来ナタネ(※4参照)を除いた葉菜類の総称だそうである(ここ参照)。
最も歴史の古い非結球性菜類の一種といわれる小松菜の歴史は諸説あるようだが、中国から渡来したカブの一種「茎立菜(クク〔キ〕タチナ)」がその祖先であり、ソノカブの子孫が各地に広がり、一部は葉を食べる漬け菜となった。
万葉集の東歌には、茎立(ククタチ)を詠んだ歌がみられる(※5:「たのしい万葉集」巻第十四参照)。
3406:「上つ毛野(上野)佐野の茎立ち(くくたち)折りはやし我(あ)れは待たむゑ来とし(今年)来ずとも」(作者: 不明)
上野国は、現在の群馬県。東山道の一国で、もと下野国(現在の栃木県)とともに毛野国と称したが,のち上下に分かれ,上毛野 (かみつけぬ。上毛とも略する) となった。
「茎立」とは薹(とう)(花をつける台のような茎)のたったアブラナ・カブなどのことで、両毛地区で古くから栽培されていた伝統野菜で、現在は栃木県佐野市付近で盛んなようだ。
秋に播種(はんしゅ)し、冬から春にかけて伸びてくる植物の若芽を掻き取って食用とする事から「かき菜」の名がついたと言われている。
この歌の意味は、※5:「たのしい万葉集」巻第十四のここにも書かれているが、古代の歌のこと、「茎立ち(ククタチ)」の「クク」には『古事記』・『日本書紀』の神産み神話に登場する木の神(木霊)「ククノチノカミ」とのかかわりもあるようだが、そのことは、以下参考※6を参照。
とにかく、アブラナ属の植物が延ばす花芽(茎葉の茎)は、古くから春先の野菜として重用されてきたようだ。
「茎立(ククタチ)」は、やがて各地の風土に合わせて改良され、それぞれの地に適した野菜となって定着してゆくが, そのひとつ江戸の小松村のあたりを流れる小松川(この川が江戸へつなるとして 「 江戸川 」とよばれるようになった。現:東京都江戸川区)付近で、それを品種改良して栽培されていた。
そのことは、江戸時代後期文化・文政期(1804年から1829年、化政文化の時期)に編まれた武蔵国の地誌『新編武蔵風土記稿』」には、「菜は東葛西領小松川辺の産を佳作とす。世に小松菜と称せり」とあり、小松菜が広く江戸っ子に賞味されていたことがわかるという。
また、享保4年(1719年)に、鷹狩りに来た将軍が鷹狩りの昼食時に何も料理するものがなくて、東・西小松川村あたりでとれた冬菜の入った餅のすまし汁をさしあげたところたいそう喜ばれ、そのときに地名から小松菜の名がつけられた、・・という話があるようだが、八代将軍吉宗が命名したといわれているが五代将軍綱吉という説もあるようだ(参考※7のこまつなくん豆知や地域情報を参照)。
江戸川区西小松川町にある浄土宗寺院「仲台院」(ここ参照)は鷹狩りに来た将軍が昼食をとったりする御膳所(休息所)という。江戸川区にある香取神社境内には、小松菜ゆかりの里という石碑もある(ここ参照)。
現在の江戸川区のほぼ全域は、江戸時代には<ahref= https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%9F%E6%88%B8%E5%B9%95%E5%BA%9C>幕府の御料所(※7のここ「葛西御厨」も参照)であり、江戸に暮らす人々、さらには徳川将軍家に対して、たいへん重要な役割を担っていた。その役割のひとつが“野菜の供給地”として、そして、もうひとつは“御鷹場”つまり、鷹狩を行うために設けられた“狩猟場”としてであった。「小松菜の命名伝説」には、そんな江戸川区の歴史が背景にあるようだ。
「さしこもる葎(むぐら)の友か冬菜売り」松尾芭蕉
この歌は、深川芭蕉庵近くの小松川辺りでとれた小松菜をうたったもので。「さし籠る葎(むぐら)」とは、葎の宿の意で、隠遁している者のすみかをいっており、ここでは芭蕉庵のことを言っているそうだ。
深川の草庵で冬籠りをしている。そんなところへ冬菜売りが菜を売りに来てくれると、旧友に会ったような気分になる。といった意味だそうだ(句の解釈などは参考※8:芭蕉dbのここ参照)。
この冬菜が小松菜だった。「冬菜」は小松菜の冬の季語にもなっている。
「摘みそへよ膳のむかひの鴬菜」 加舎白雄(かやしらお。江戸時代の俳人)
「小松菜」は古くから収穫期によって冬には「冬菜」・「雪菜」、初春に出回るまだ若くて小さい菜は「鴬(うぐいす)菜」とも呼ばれており、春の季語となっている。
今、江戸川区の小松菜収穫量は、都内では一位を誇っているようで、同地域の特産野菜ともなっている。
「小松菜」は、最近は愛知県や大阪府などでの生産も行われているようだが、国内生産量のうち関東の生産量が大半を占め、東京都も生産量トップ2 に入っている。ちなみに、※9:「野菜ナビ」の、2013年 野菜の作付面積ランキングを見ると、
1位、いも 7万9,700ヘクタールに対して小松菜作付面積6,450ヘクタールと21位にあり、じゃがいもの作付面積を100%として、8%を占めているようだ。
そして、※9:「野菜ナビ」の小松菜の収穫ランキングを見ると上位ベスト10に入っている埼玉県/東京都/茨城県/神奈川県/群馬県/千葉県の6県で51,8%のシェアを占めている。その詳細は以下のようになっている。
(出荷量ベース、単位トンの後ろの数字は全国シェア率)
1 位 埼玉県 14,600トン 16.03 %
2 位 東京都 7,810トン 8.57 %
3 位 茨城県 7,520トン 8.25 %
4 位 福岡県 7,460トン 8.19 %
5 位 神奈川県 6,120トン 6.72 %
6 位 群馬県 6,000トン 6.59 %
7 位 千葉県 5,120トン 5.62 %
8 位 大阪府 3,840トン 4.22 %
9 位 京都府 3,350トン 3.68 %
10 位 兵庫県 2,490トン 2.73 %
これは、農林水産省の2013年(2014年12月15日公表)の作物統計の都道府県別のこまつな出荷量(※10参照)から作られたものである。
大阪が上位8 位に食い込んでいるし、兵庫がギリギリベスト10に入っているのは~結構頑張っているな~。
小松菜の栽培は関東一円から全国へ広がり各地でいくつかの系統が誕生している。そして、地域や収穫時期で呼び名が異なり、新潟の「女池菜(めいけな)」や「大崎菜」(※11参照)、福島の「信夫菜(のぶな)」(※12参照)なども小松菜の仲間である。
大阪府内には伝統的に優れた栽培技術で生産された、泉州の「水なす」や「大阪ふき」のように全国にも誇れる農産物がたくさんあり「なにわ特産品」として選定されているが、平成18年(2006年)からは「大阪こまつな」が加えられ、大阪府内全域で栽培されるようになり、それがあったからかどうかは知らないが、上記のような小松菜のランキング入りを果たす結果となったようだ。
栄養面では、カロテンやカルシウムを豊富に含んでおり、葉にやや丸みがあり、表は濃い緑色で裏はやや薄い緑色が特長だそうだ (冒頭の画像が「大阪こまつな」)。詳しくは※13:「阪府/なにわ特産品」参照。
ちなみに、「ツケナ」(漬菜)はアブラナ科の非結球葉菜の総称で、交雑が容易なため、いまでは国内で100近い品種が作られているようで、よく知られるところではノザワナ(野沢菜)、ミズナ(水菜)、ミブナ(壬生菜)などもその仲間である。
野菜には体によい栄養がたっぷり詰まっているというので、近年、生活習慣病予防に効果があると人気上昇中のようだが、それぞれの野菜に実際にどんな栄養素が含まれているかを知っていることは健康管理には役立つことだろう。ただ、栄養成分といっても色々種類が多いのでどんな野菜を取ればよいかなどは、人によって違ってくるだろうから難しい。
冒頭、日本記念日協会の今日の「小松菜の日」の設定理由に、「小松菜はカルシウムがほうれん草の5倍も含まれ、ビタミンも豊富など栄養面の評価の高い野菜として知られている」…のでとあったので、先ずは、「小松菜」が、「栄養成分トップ30」の野菜に入っっているかを※9:「野菜ナビ」でみるとその中には入っていない。
では個別にみるとどうなるか ?
ではカルシウムについてみてみよう。可食部100g中カルシウム含有量を同じく、※9:「野菜ナビ」でみると、主要野菜の栄養成分の1位は、「こまつな/ゆで」で、含量は 150 mg で、「ほうれんそう/ゆで」が8位で含量69 mgとなっており、1位:「こまつな/ゆで」の含量を100%とした割合は「ほうれんそう/ゆで」の含量は46%。となっている。確かに、小松菜の含量はホウレンソウより多いが、5倍はちょっとおオーバーすぎるのではないか。
そこで、※9:「野菜ナビ」の野菜図鑑で、コマツナの栄養と効能を見ると、
「ゆで:βカロテン当量(3100mcg)、ビタミンC(21mg)、ビタミンK(320mcg)、カルシウム(150mg)、鉄(2.1mg)、食物繊維総量(2.4g).とあった。
「期待される効能」としては、
「小松菜はβカロテンやビタミンCを豊富に含んでいます。βカロテンは体内で必要な分だけビタミンAに変換され、皮膚や粘膜を保護する作用があるといわれます。また抗酸化作用(生体内で、酸素が関与する有害な作用を抑制するはたらき。このはたらきをもつ物質を抗酸化物質という抗酸化物質参照)により老化やがん(悪性腫瘍参照)、風邪,などの予防効果もあるとされ、ビタミンCとの相乗効果で免疫力アップや美容効果も期待できます。
カルシウムも多く含まれているので、歯や骨の健康維持にもよいでしょう。さらには貧血予防に効果がある鉄分や、血圧の上昇を抑制する作用のあるカリウムも含まれています。中でもカルシウムや鉄分の含有量は、ほうれん草の約2倍です。・・とある。ここでは、ちゃんとホウレンソウの5倍ではなく2倍と正しく書かれている。
この内容を見ていると、確かに、女性や、我々のような年寄りには効果がありそうだね~。
そういえば、下のようなブログもあった。
がん予防にはこれ! 3つの野菜が効果的 - アタナハクリニック意識して食べることにしようか。クックパッドにいろいろおいしそうな「小松菜レシピ」があったので、家人に見てもらっておこう。
【クックパッド】美味しすぎる!《小松菜レシピ》〈23選〉
冒頭の画像は、「大阪こまつな」※13:「大阪府/なにわ特産品」より借用。
参考:
※1:日本記念日協会
http://www.kinenbi.gr.jp/
※2:有限会社しものファームHP
http://www.sakai.zaq.ne.jp/shimonofarm/
※3:野菜図鑑-農畜産業振興機構
https://vegetable.alic.go.jp/panfu/zukanmokuji.html
※4:ナタネはどんな植物か 食農教育 2004年9月号 - 農文協
http://www.ruralnet.or.jp/syokunou/200409/09_natane.html
※5:たのしい万葉集
http://www6.airnet.ne.jp/manyo/main/home.html
※6:「茎立折りはやし」 菜の花供え「あなた」待つ : 地域 : 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/local/gunma/feature/CO004071/20140209-OYT8T00010.html
※7:花と野菜の豆知識・カレンダー:江戸川区公式ホームページ
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/san_jigyosya/nogyo_suisan/hana_calendar/index.html
※8:芭蕉db-芭蕉俳句全集:季題別順
http://www2.yamanashi-ken.ac.jp/~itoyo/basho/haikusyu/index_kidai.htm
※9:※野菜ナビ
http://www.yasainavi.com/
※10:農林水産省:作物統計 > 作況調査(野菜)
http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sakumotu/sakkyou_yasai/index.html
※11:とう菜 | 新潟・食品名産図鑑
http://nigata.japanfoods.net/specialty/touna/
※12:信夫菜 (しのぶな)|地方特産食材図鑑
http://g-foods.info/zukan/product/product_203.html
※13:大阪府/なにわ特産品
http://www.pref.osaka.lg.jp/nosei/naniwanonousanbutu/tokusanhin.html
食品成分データーベース-文部科学省
http://fooddb.mext.go.jp/search.html
旬の食材百科
http://foodslink.jp/syokuzaihyakka/index.htm