今日7月2日は何の日だと思いますか。
以下参考に記載の※1:「こよみのページ」で調べると、今日は「一年の折り返しの日」。つまり、今日がちょうど年初からの日数と年末までの日数が等しくなる日…だった。
一年の日数は、平年が365日(閏年は 366日)。
一年の上半期と下半期の暦月の日数を合計すると、
上半期 1〜 6月: 31+28+31+30+31+30 = 181日 (閏年は 182日)
下半期 7〜12月: 31+31+30+31+30+31 = 184日
その 1/2は、182.5日 (閏年は 183日)
この半分の日に合致するのは、 7月2日。今年のような平年ならこの日の正午(12時)が、閏年ならこの日の正子(零時)が折り返しにあたる。(※1のここ参照)。
今年もあっという間に半年が過ぎてしまった。そして、後半の半年目に入った7月は通常梅雨でじめじめとした日が続いているはずなのだが、今年の梅雨は降るところは降るが降らないところは雨不足。そして降るところは土砂降りで、大きな被害をもたらしたりと異常気象が続いている。
日本の特徴である四季も大分様子が違ってきた。これも人間の環境破壊による温暖化がもたらしたものだとすれば、これも自分たちが蒔いた種と認識し、環境保全問題への取り組みが如何に重要かを改めて考え直さなければいけないということだろう(※2参照)
ところで、「一年の折り返しの日」である今日7月2日は「ユネスコ加盟記念日」でもある。
世界中のひとたちが
みんな手に手をつないだら
世界は
日の照るまひるになる
みんな花輪をつくったら
花輪と花輪をむすんだら
ぐるぐるまわる輪になって
ひろい地球をかこんだら
世界は
あかるい苑になる
ユネスコの歌 -「手に手をとって」(蓑山修三作詞、古関裕而作曲)
ユネスコの歌で検索していたら、日本ユネスコ協会連盟加盟の川西ユネスコ協会HP(ここ参照)に上記の歌が掲載されていた。作詞者の蓑山修三という人がどういう人かは検索しても分からなかったが、作曲者は、戦後のNHKのラジオドラマ「鐘の鳴る丘」の主題歌「とんがり帽子」や「フランチェスカの鐘」「長崎の鐘」「イヨマンテの夜」など数多くの多くの楽曲を制作した古関裕而である。それで、この歌を検索したがなかなか曲が見つからずやっと1つだけ見つけた。それが以下の第63回日本ユネスコ運動全国大会in山口で歌われていたものであるが、ノイズが入って聞きづらいが興味のある人は聞いてみるとよい。日本が、ユネスコ(UNESCO)に加盟した頃に作られたのであろうとは思うのだが確かなことは判らない。
ユネスコの歌(オーケストラ版) - YouTube
ユネスコ(United Nations Educational, Scientific and Cultural Organizatio)は、日本語で、国際連合教育科学文化機関といい、本部はフランスのパリにある。
「ユネスコ加盟記念日」は、1951(昭和26)年のこの日(7月2日)、日本がユネスコ(UNESCO)に加盟したのを記念して設けられた日である。
ユネスコは、国際連合の経済社会理事会の下におかれた、連合国文部大臣会議で、教育・文化に関する国際機関の設立が検討され、第二次世界大戦終了後の1945 (昭和20 )年11月16日に連合国教育文化会議で44か国代表により採択されたユネスコ憲章(「国際連合教育科学文化機関憲章」)に基づいて翌・1946(昭和21)年11月4日に設立された連合国(国際連合加盟国)の専門機関である。
教育や文化の振興を通じて、戦争の悲劇を繰り返さないとの理念により設立の意義を定めたユネスコ憲章の前文には「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和の砦を築かなければならない」との文言があり、設立の目的とその精神を顕著に表している(※3「文部科学省」HPのここ参照)。
活動にあたっては、重点的に推進する目標として「万人のための基礎教育」「文化の多様性の保護および文明間対話の促進」などを定めており、それに基づき、例えば前者に関しては識字率の向上や義務教育の普及のための活動、後者については世界遺産の登録と保護、文化多様性条約(正式には、「文化表現の多様性の保護及び促進に関する条約」)の採択のほか、歴史的記録遺産を保全するユネスコ記憶遺産(世界の記憶)事業などを実施している。
そのほか、極度の貧困の半減、普遍的初等教育の達成、初等・中等教育における男女差別の解消、持続可能な開発のための教育、危機に瀕する言語の保護などを内容とするミレニアム開発目標をはじめ、国際開発目標達成を目指している(現在のユネスコ目標は※3のここ参照)。
日本は国連への加盟が認められた1956(昭和31)年に先立つて、1951(昭和26)年7月2日に加盟しているが、日本にとって、この加盟は戦後の国際社会への復帰の契機となるものであった。
1980年代には、放漫財政等のマネージメントの問題に加え、活動が「政治化」していることのほか、当時のアマドゥ・ムボウ(セネガル)第6代事務局長が提唱した「新世界情報秩序」がジャーナリストの認可制を導入し報道の自由を制限するものだとして、アメリカ、イギリスなどの大国が相次いで脱退し、ユネスコの存続は危機に立たされた。
この間、日本は、ユネスコにとどまり、分担金の約4分の1近くを担う最大の拠出国として、ユネスコの存続に大きな役割を果たした。
結局、政治的偏向や報道の自由に対する問題を解消したフェデリコ・マヨール第7代事務局長(スペイン、※4参照)につづき、松浦晃一郎(日本)第8代事務局長のもと管理運営についても全般的な改革がなされ、米国・英国のユネスコ復帰が果たされた(それぞれ2003年10月、1997年7月に復帰)。
このように松浦事務局長の改革については高く評価されており、総会や執行委員会でも多くの加盟国から繰り返し表明されている。一方で改革の根幹である RBM (Risk-Based Maintenance.。リスクベースメンテナンス。= リスクを基準に検査及びメンテナンスの重要度、緊急度を評価し優先順位をつけてメンテナンスを行う方法)の進展やプログラムの整理、官僚主義的な組織機構についてさらなる取組も求められているようだ(Wikipedia)。
2013(平成25)年11月現在の加盟国数は195ヶ国。準加盟地域9。ユネスコの通常予算(2012〜2013の2か年)は、約6億5,300万ドル(約640億円)、これに対して、日本の分担率は、10.834パーセントとなっているので、分担金の額は、約1億500万ドル(約30億8000万円)である。
因みに主要国の分担率上位は、米国(22%)、日本(10,834%)、独(7.142%)、仏(5.594%)、英(5.179%)となっており、今日では、日本は米国に次いで第2位の分担金拠出国(注:2011年10月から、米国がパレスチナのユネスコ加盟により拠出金支払を停止しているため、実質的に日本が最大の分担金拠出国となっている。※5参照)として、ユネスコに財政面から貢献するとともに、ユネスコの管理・運営を司る執行委員会委員国として、ユネスコの管理運営に直接関与しているという。
また、ユネスコが行う諸事業にも様々な形で協力しており、文化遺産の保存協力のために、文化遺産保存日本信託基金、無形文化遺産保護日本信託基金を設置(※3の無形文化のページの無形文化遺産の保存・振興を参照)しているほか、コミュニケーション分野、海洋学や環境問題にかかる自然科学、教育の諸事業への資金拠出、専門家派遣、研修員受入れ等種々の協力を推進している。
さらに、途上国における教育の普及や人造りの事業支援等のために、持続可能な開発のための教育交流・協力信託基金(平成20年度〜)、人的資源開発信託基金(平成12年度〜)、アジア太平洋地域教育協力信託基金(平成21年度〜)等をユネスコに設置しているという(※6又、※3のここやここ参照)
正にユネスコにとっては、日本様々であろう。そうかどうかは知らないが、ここのところ、(富士山―信仰の対象と芸術の源泉)や富岡製糸場(富岡製糸場と絹産業遺産群)などの世界遺産への登録だけでなく、昨年2013(平成25)年は、9月に東京オリンピック・パラリンピック開催(2020年)が決定した後、12月には、アゼルバイジャンのバクーで開催されたユネスコ無形文化遺産保護条約第8回政府間委員会で、「和食」(日本料理参照)の食文化が自然を尊重する日本人の心(※8参照)を表現したものであり、伝統的な社会慣習として世代を越えて受け継がれていると評価され、無形文化遺産に登録することを決めた(※9参照)。日本からは22件目である(※10参照)。
これら世界の有形、無形の文化遺産が数多く登録されるのは日本人としの誇りでもあり嬉しいことではある。今、日本中が、これら世界遺産への登録を利用して観光客を呼び寄せようと必死になっており、観光地も世界中から観光客が押し寄せて大賑わいの様である。
因みに、先に述べた「和食」を無形文化遺産に登録することを決めたアゼルバイジャンのバクーであるが、このババクーの内城はシルヴァン・シャー宮殿(英語版)・乙女の塔(英語版)とともに2000年に世界遺産に登録された(城壁都市バクー)が、同年11月25日のバクー大地震で、危機にさらされている世界遺産リストに2003年に登録されたが、2009年に改善・復旧が認められ危機遺産リストから脱したという経歴を持っている。
せっかく苦労して、世界遺産に登録されても、その物件の世界遺産としての意義を揺るがすような何らかの脅威にさらされている、もしくはその恐れがある物件については、世界遺産委員会によって危機遺産と認定された場合に同リストに登録され、世界遺産としての価値が失われたと判断された場合は世界遺産リストそれ自体から削除される可能性もある。つまり、世界遺産から抹消されるということもよく承知しておかなければならないということだろう。
そもそも、1972(昭和47)年11月ユネスコ総会で採決された「世界遺産条約」の正式名称は「世界の文化遺産と自然遺産の保護に関する条約」 である。
世界遺産の登録において、文化遺産は国や地域で異なる文化の独自性をアピールしやすいが自然遺産は優位性を科学的に証明しなければならない。そのため、文化遺産が圧倒的に多く登録され増加傾向にある一方で自然遺産は2割弱程度しか登録されておらず、推薦しても登録されにくい傾向にある。
日本でも富士山を含む文化遺産は現在14件登録されているが、自然遺産は屋久島など4件のみであり、自然遺産は全体の22,2%にすぎない。そして、その”地域一帯の自然環境と、そこでの人間の文化的営為(歴史文化)が、ともに顕著に普遍的な価値を有するもの”と認定される複合遺産への登録はまだ1件も申請されていない。
例えば、フランスには年間7,600万人(2003年)の観光客が訪れ、地元の各業界に莫大な金額を落とす。このため、経済上極めて重要な業種の一つとなっており、政府は観光局を設置し、世界各国の出先事務所を通じて自国の観光や産業のPRを進めている。
日本でも、2002年のサッカー・ワールドカップ開催を契機に、外国人旅行者の増加を目指す「グローバル観光戦略」を策定。国土交通省がビジット・ジャパン・キャンペーンを展開し、2010年までに訪日客を倍増(1,000万人)させる計画を立てていた(※11参照)。
日本政府観光局(JNT0。※12 参照)が2011年1月26日に発表した、2010年の訪日外国人旅行者に関する調査(推計値)では、861万1500人となっており、政府目標(ビジット・ジャパン・キャンペーン)には届かなかったものの大きく来訪者が伸びている。
観光資源となるものは様々ではあるが、自然や歴史などを利用する場合には他の産業の発展と両立しがたい場合がある。そして、自然環境や街並み、景観などの保存が求められる場合、工業化や近代化、都市化などが抑制される側面もある。逆に言えば、それらが進展した際観光業が衰退する可能性も出てくるのである。
長所としては、観光業の発展で多くの観光客が訪れるようになると、宿泊や運輸、飲食、旅行業など様々な分野での経済活動が活発になり、経済への波及効果が高い。
逆に、問題点としては、観光客の増加による公害。ホテル・娯楽施設などの建設や観光客によるごみの投棄などでの森林破壊・海洋汚染など自然環境の破壊や、悪臭、騒音など、また、交通量の増加による道路の渋滞、交通機関の混雑等も起こる。そして、地域外から大勢の観光客が訪れることによる文化的な摩擦や、地域の伝統文化の変容などが起こり、地域住民などから反発されることもある。
従って、観光開発には当初さほどの資金が必要とされない場合でも、このような問題の解決には相応の投資も必要となる。それは十分承知の上で観光客の誘致はしなければいけないだろう。
日本を代表する自然景観である富士山は当初、地元自治体などが自然遺産での国内候補入りを目指し最後まで残ったが、ごみ問題、登山者のトイレ問題などがあり、登録が難しいという評価になった。そして、富士山を日本と日本文化を象徴する「名山」とし、古来からの「信仰対象」「芸術の源泉」と位置付け、構成資産を富士山や富士五湖など25件として文化遺産への指定に目標を展じ、登録手続きが進められた。
2013年4月、イコモスが6月にカンボジアで開かれた世界遺産委員会で富士山を文化遺産として登録するよう勧告。名称は「富士山」から「富士山と信仰・芸術の関連遺産群」へと変更し、構成資産のうち三保松原を除いた上で登録すべきという条件付きの勧告だったが、日本政府は、2012年12月時点で「三保松原は欠かせない要素」として除外を拒否したが、富士山から45 kmも 離れた三保松原を構成資産にするのは無理があるということで除外が再度勧告された。これに対して、日本側は最後まで理解を求め、結果的に三保松原も含む形での世界遺産登録がなされ、最終登録名は「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」になったという経緯があった(経緯については。世界遺産登録の経緯のところを参照)。
しかし、その後も、富士山の麓で行われている自衛隊や米海兵隊の軍事演習は文化遺産に大きなダメージを与え続けているという大きな問題も残したままだ。(東富士演習場・北富士演習場問題)。
『富嶽三十六景』他数々の浮世絵などに描かれてきた美しい景観の富士山は世界に誇りうる日本のシンボルであると共に平和のシンボルでもなければならないはずである。
その富士山が昨年6月、世界文化遺産に登録されてから半年以上が過ぎた今年2月、環境対策の宿題が課されており、怠ると登録が取り消される可能性もある・・・として、地元関係者が対応策に追われている・・とのマスコミ報道があった(※13 参照)。
富士山の場合、昨年4月30日にイコモスが富士山の世界文化遺産登録を適当と勧告したため、世界遺産登録が事実上決まり、日本中が沸き立ったが、その陰で他の世界遺産にはない注文がついていたというのだ。
イコモスは、富士山の様々な環境問題を指摘し、2016年2月1日までに「保全状況報告書」という環境保全策を提出せよといっているらしい。富士山のように保全状況報告書の提出を求められるのは異例なことで、文化庁世界文化遺産室は「世界遺産登録後に何らかの問題が生じて、報告書を求められることはあるが、富士山のように登録時点で報告書を求められたケースは他に知らない。半ば、条件付き登録のようなもの」と説明する。過去に登録が取り消されたこともあり、勧告へのいい加減な対応は許されないからだ。どうして日本のメディアは条件付きであった富士山の世界遺産登録について、それを正しく国民に報じようとしないのか(イコモスが課した主な富士山対策は※13 参照)。
日本を代表する登山家であり、エベレストや、マナスル、そして富士山などの清掃登山を精力的に行ってきた野口健氏もこれを心配して、この6月に『世界遺産にされて富士山は泣いている 』と題した本を出版している(※14 参照)。
上掲の画像は朝日新聞への本の広告である。
そして、野口健氏は、美しい「日本の象徴」でいま起こっていることは、日本社会が抱える問題そのものだ!」・・・と嘆いている。
清掃登山に全力を注ぐなかで、環境問題を超える富士山のほんとうの問題に気づいてしまった野口氏は「日本の象徴」の背後で既得権にしがみつき、縄張り争いに奔走する「人間」の姿があったと云う。
そもそも江戸時代の富士山への登山は「弾丸登山」どころか「スローな旅」だったといい、そうした「ほんとうの観光」のあり方を示しているという。
正直私もまだ、この本を読んだわけではないが云わんとしたいことは何となくわかる気がする。
富士山巡礼者。日下部金兵衛により1880年撮影。Wikipediaより。
1993(平成5)年に、日本で初めて世界自然遺産に登録されて、昨2013(平成25)年で20周年を迎えた屋久島でも、来島者の増加による生態系への影響(ヤクシカの人慣れなど野生動物の保全課題、ゴミ投棄、踏みつけによる土壌浸食など)や、し尿処理施設の不足のなど、どこの観光地でも見られそうな問題がまだまだ残っているようだ(※15参照)。
そのようなことから、観光資源としての世界遺産登録ではなく真に豊かな社会の構築の一環として保全活動を推進することの意義をもう一度問い直す必要があるようだ。
富士山と共に世界遺産登録された三保松原も「羽衣の松」を含む多くの松林が徐々に枯死する松枯れも進行しているようで、松食い虫防除のための予防剤注入等その対応に追われているようである(16)が、松くい虫だけでなく、車による観光客増大による被害も考えなければいけないだろう。
また、奈良県が若草山に設置を検討している「モノレール」の建設についても、イコモスが懸念を表明している(※17参照)。
基本的には、貴重な自然や、文化財を守ることを大前提に世界遺産登録されなければならず、そのためには、世界遺産に登録する前に登録された後起こりうることを十分考えその対応策が講じられてから登録すべきものが、観光客の誘致などによる利害優先で登録を急ぎ、観光客が増えたと観光業者などの利害者が喜びはしゃいでいるうちに、徐々にその問題が顕在化してきて困った困った・・と言っている感じに見える。
観光客が増えたから起こった問題など、観光客が増えたことにより利益が上がったと喜んでいる人たちがごみ処理費などの費用を優先的に負担し、その上で、入山者にも協力金を呼びかけるのはわかるが、何か、観光収入で稼ぎはするが費用負担は観光客に負担を襲漬けているようなところが感じられて気持ちが悪い。{世界遺産登録は何の為にしているのか?」・・その原点をしっかりとわきまえておかなければいけないだろう。
日本では自然環境の他、文化・歴史等を観光の対象としながら、その持続可能性を考慮した「エコツーリズム」の普及・推進が2008(平成20)年から環境省などを中心として行われ、それらを体験し、学ぶと共に対象となる地域の自然環境や歴史文化の保全に責任を持つ観光のあり方を示している(※18参照)。よく、理解しておいてもらいたいものだ。
前文のユネスコの活動の中で、文化多様性条約 の採択の話に触れた。
「文化多様性条約」とは、各国が、固有の文化を保護・育成する政策を取る権利を認めた条約であり、2005年10月、第33回ユネスコ総会において賛成:日本を含む百四十八ヵ国、反対:二ヵ国(米国とイスラエル)、棄権:四ヶ国という投票結果により国際的な規範として採択された。
条約は2007年3月に正式に発効し、2010年2月現在、107カ国及び欧州共同体が締結している。一方、我が国は、未だ締結に至っていない。ただこの条約の締結には理想と現実の間にいろいろ大きな問題がありそうなので、まだ、私は意見を書くに至っておらず今回は触れないことにする。興味のある人は以下参考の※190〜※21を参照されるとよい。
(冒頭の画像は国際連合教育科学文化機関の旗)
参考:
※1:こよみのページ
http://koyomi8.com/
※2:温暖化白書』 - 原因や対策など地球環境問題について考える!
http://www.glwwp.com/
※3文部科学省:日本ユネスコ国内委員会
http://www.mext.go.jp/unesco/index.htm
※4:国連の真の魂 — シェアインターナショナル日本語版
http://sharejapan.org/sinews/magazines/si5n7k/c6gix5/hbfreg
※5:パレスチナ ユネスコに正式加盟 アメリカは反発するも外交的には孤立 ...
http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/e/5d3430d90296007c8aecb691e715ebf5
※6:ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の概要 | 外務省
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/culture/kyoryoku/unesco/gaiyo.html
※7:文化庁 | 文化財 | 文化財の紹介 | 無形文化遺産
http://www.bunka.go.jp/bunkazai/shoukai/bunka_isan.html
※8:和の心 | 日本と日本人の文化
http://japanjapanese.net/feature/heart.html
※9:農林水産省/日本食文化を、ユネスコ無形文化遺産に
http://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/ich/
※10:無形文化遺産の保存振興 | 外務省
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/culture/kyoryoku/unesco/isan/mukei2/
※11:訪日外国人観光客の受け入れの推進 - 国土交通省(Adobe PDF)
http://www.mlit.go.jp/common/000043173.pdf#search='2010%E5%B9%B4%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AB%E8%A8%AA%E6%97%A5%E5%AE%A2'
※12 :日本政府観光局 .
http://www.jnto.go.jp/jpn/index.html
※13 :世界遺産は期限付き? 富士山に課された2年の宿題 :日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0400F_V00C14A2000000/
※14 :世界遺産にされて富士山は泣いている | 野口健著 | 書籍 | PHP研究所
http://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-82004-0
※15:屋久島世界自然遺産20周年シンポでのツイートのまとめ
lhttp://d.hatena.ne.jp/yahara/20131020/1382279233
※16:三保松原の松枯れ対策 知事酷評に県議疑問の声 | 静岡新聞 - アットエス
http://www.at-s.com/news/detail/1085175727.html
※17:若草山モノレール計画に、ユネスコ諮問機関(ICOMOS)が懸念を表明 ...
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/f16eab0d765e68f3f6dd20a7347b1729
※18:環境省の取り組み|エコツーリズムのススメ|環境省
http://www.env.go.jp/nature/ecotourism/try-ecotourism/about/index.html
※19:文化的表現の多様性の保護及び促進に関する条約の締結に向けた取り組みについて(建議)-文部科学省
http://www.mext.go.jp/unesco/002/004/1291784.htm
※20:いまなぜ文化の多様性か(Adobe PDF)
https://www.accu.or.jp/jp/accunews/news356/356_01.pdf#search='%E6%96%87%E5%8C%96%E5%A4%9A%E6%A7%98%E6%80%A7%E6%9D%A1%E7%B4%84'
※21:031 UNESCO文化多様性条約 - 集英社新書
http://shinsho.shueisha.co.jp/column/campus2/060925/index.html
世界遺産一覧|世界遺産運動|公益社団法人日本ユネスコ協会連盟
https://www.unesco.or.jp/isan/list/
国際連合教育科学文化機関 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E9%80%A3%E5%90%88%E6%95%99%E8%82%B2%E7%A7%91%E5%AD%A6%E6%96%87%E5%8C%96%E6%A9%9F%E9%96%A2
以下参考に記載の※1:「こよみのページ」で調べると、今日は「一年の折り返しの日」。つまり、今日がちょうど年初からの日数と年末までの日数が等しくなる日…だった。
一年の日数は、平年が365日(閏年は 366日)。
一年の上半期と下半期の暦月の日数を合計すると、
上半期 1〜 6月: 31+28+31+30+31+30 = 181日 (閏年は 182日)
下半期 7〜12月: 31+31+30+31+30+31 = 184日
その 1/2は、182.5日 (閏年は 183日)
この半分の日に合致するのは、 7月2日。今年のような平年ならこの日の正午(12時)が、閏年ならこの日の正子(零時)が折り返しにあたる。(※1のここ参照)。
今年もあっという間に半年が過ぎてしまった。そして、後半の半年目に入った7月は通常梅雨でじめじめとした日が続いているはずなのだが、今年の梅雨は降るところは降るが降らないところは雨不足。そして降るところは土砂降りで、大きな被害をもたらしたりと異常気象が続いている。
日本の特徴である四季も大分様子が違ってきた。これも人間の環境破壊による温暖化がもたらしたものだとすれば、これも自分たちが蒔いた種と認識し、環境保全問題への取り組みが如何に重要かを改めて考え直さなければいけないということだろう(※2参照)
ところで、「一年の折り返しの日」である今日7月2日は「ユネスコ加盟記念日」でもある。
世界中のひとたちが
みんな手に手をつないだら
世界は
日の照るまひるになる
みんな花輪をつくったら
花輪と花輪をむすんだら
ぐるぐるまわる輪になって
ひろい地球をかこんだら
世界は
あかるい苑になる
ユネスコの歌 -「手に手をとって」(蓑山修三作詞、古関裕而作曲)
ユネスコの歌で検索していたら、日本ユネスコ協会連盟加盟の川西ユネスコ協会HP(ここ参照)に上記の歌が掲載されていた。作詞者の蓑山修三という人がどういう人かは検索しても分からなかったが、作曲者は、戦後のNHKのラジオドラマ「鐘の鳴る丘」の主題歌「とんがり帽子」や「フランチェスカの鐘」「長崎の鐘」「イヨマンテの夜」など数多くの多くの楽曲を制作した古関裕而である。それで、この歌を検索したがなかなか曲が見つからずやっと1つだけ見つけた。それが以下の第63回日本ユネスコ運動全国大会in山口で歌われていたものであるが、ノイズが入って聞きづらいが興味のある人は聞いてみるとよい。日本が、ユネスコ(UNESCO)に加盟した頃に作られたのであろうとは思うのだが確かなことは判らない。
ユネスコの歌(オーケストラ版) - YouTube
ユネスコ(United Nations Educational, Scientific and Cultural Organizatio)は、日本語で、国際連合教育科学文化機関といい、本部はフランスのパリにある。
「ユネスコ加盟記念日」は、1951(昭和26)年のこの日(7月2日)、日本がユネスコ(UNESCO)に加盟したのを記念して設けられた日である。
ユネスコは、国際連合の経済社会理事会の下におかれた、連合国文部大臣会議で、教育・文化に関する国際機関の設立が検討され、第二次世界大戦終了後の1945 (昭和20 )年11月16日に連合国教育文化会議で44か国代表により採択されたユネスコ憲章(「国際連合教育科学文化機関憲章」)に基づいて翌・1946(昭和21)年11月4日に設立された連合国(国際連合加盟国)の専門機関である。
教育や文化の振興を通じて、戦争の悲劇を繰り返さないとの理念により設立の意義を定めたユネスコ憲章の前文には「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和の砦を築かなければならない」との文言があり、設立の目的とその精神を顕著に表している(※3「文部科学省」HPのここ参照)。
活動にあたっては、重点的に推進する目標として「万人のための基礎教育」「文化の多様性の保護および文明間対話の促進」などを定めており、それに基づき、例えば前者に関しては識字率の向上や義務教育の普及のための活動、後者については世界遺産の登録と保護、文化多様性条約(正式には、「文化表現の多様性の保護及び促進に関する条約」)の採択のほか、歴史的記録遺産を保全するユネスコ記憶遺産(世界の記憶)事業などを実施している。
そのほか、極度の貧困の半減、普遍的初等教育の達成、初等・中等教育における男女差別の解消、持続可能な開発のための教育、危機に瀕する言語の保護などを内容とするミレニアム開発目標をはじめ、国際開発目標達成を目指している(現在のユネスコ目標は※3のここ参照)。
日本は国連への加盟が認められた1956(昭和31)年に先立つて、1951(昭和26)年7月2日に加盟しているが、日本にとって、この加盟は戦後の国際社会への復帰の契機となるものであった。
1980年代には、放漫財政等のマネージメントの問題に加え、活動が「政治化」していることのほか、当時のアマドゥ・ムボウ(セネガル)第6代事務局長が提唱した「新世界情報秩序」がジャーナリストの認可制を導入し報道の自由を制限するものだとして、アメリカ、イギリスなどの大国が相次いで脱退し、ユネスコの存続は危機に立たされた。
この間、日本は、ユネスコにとどまり、分担金の約4分の1近くを担う最大の拠出国として、ユネスコの存続に大きな役割を果たした。
結局、政治的偏向や報道の自由に対する問題を解消したフェデリコ・マヨール第7代事務局長(スペイン、※4参照)につづき、松浦晃一郎(日本)第8代事務局長のもと管理運営についても全般的な改革がなされ、米国・英国のユネスコ復帰が果たされた(それぞれ2003年10月、1997年7月に復帰)。
このように松浦事務局長の改革については高く評価されており、総会や執行委員会でも多くの加盟国から繰り返し表明されている。一方で改革の根幹である RBM (Risk-Based Maintenance.。リスクベースメンテナンス。= リスクを基準に検査及びメンテナンスの重要度、緊急度を評価し優先順位をつけてメンテナンスを行う方法)の進展やプログラムの整理、官僚主義的な組織機構についてさらなる取組も求められているようだ(Wikipedia)。
2013(平成25)年11月現在の加盟国数は195ヶ国。準加盟地域9。ユネスコの通常予算(2012〜2013の2か年)は、約6億5,300万ドル(約640億円)、これに対して、日本の分担率は、10.834パーセントとなっているので、分担金の額は、約1億500万ドル(約30億8000万円)である。
因みに主要国の分担率上位は、米国(22%)、日本(10,834%)、独(7.142%)、仏(5.594%)、英(5.179%)となっており、今日では、日本は米国に次いで第2位の分担金拠出国(注:2011年10月から、米国がパレスチナのユネスコ加盟により拠出金支払を停止しているため、実質的に日本が最大の分担金拠出国となっている。※5参照)として、ユネスコに財政面から貢献するとともに、ユネスコの管理・運営を司る執行委員会委員国として、ユネスコの管理運営に直接関与しているという。
また、ユネスコが行う諸事業にも様々な形で協力しており、文化遺産の保存協力のために、文化遺産保存日本信託基金、無形文化遺産保護日本信託基金を設置(※3の無形文化のページの無形文化遺産の保存・振興を参照)しているほか、コミュニケーション分野、海洋学や環境問題にかかる自然科学、教育の諸事業への資金拠出、専門家派遣、研修員受入れ等種々の協力を推進している。
さらに、途上国における教育の普及や人造りの事業支援等のために、持続可能な開発のための教育交流・協力信託基金(平成20年度〜)、人的資源開発信託基金(平成12年度〜)、アジア太平洋地域教育協力信託基金(平成21年度〜)等をユネスコに設置しているという(※6又、※3のここやここ参照)
正にユネスコにとっては、日本様々であろう。そうかどうかは知らないが、ここのところ、(富士山―信仰の対象と芸術の源泉)や富岡製糸場(富岡製糸場と絹産業遺産群)などの世界遺産への登録だけでなく、昨年2013(平成25)年は、9月に東京オリンピック・パラリンピック開催(2020年)が決定した後、12月には、アゼルバイジャンのバクーで開催されたユネスコ無形文化遺産保護条約第8回政府間委員会で、「和食」(日本料理参照)の食文化が自然を尊重する日本人の心(※8参照)を表現したものであり、伝統的な社会慣習として世代を越えて受け継がれていると評価され、無形文化遺産に登録することを決めた(※9参照)。日本からは22件目である(※10参照)。
これら世界の有形、無形の文化遺産が数多く登録されるのは日本人としの誇りでもあり嬉しいことではある。今、日本中が、これら世界遺産への登録を利用して観光客を呼び寄せようと必死になっており、観光地も世界中から観光客が押し寄せて大賑わいの様である。
因みに、先に述べた「和食」を無形文化遺産に登録することを決めたアゼルバイジャンのバクーであるが、このババクーの内城はシルヴァン・シャー宮殿(英語版)・乙女の塔(英語版)とともに2000年に世界遺産に登録された(城壁都市バクー)が、同年11月25日のバクー大地震で、危機にさらされている世界遺産リストに2003年に登録されたが、2009年に改善・復旧が認められ危機遺産リストから脱したという経歴を持っている。
せっかく苦労して、世界遺産に登録されても、その物件の世界遺産としての意義を揺るがすような何らかの脅威にさらされている、もしくはその恐れがある物件については、世界遺産委員会によって危機遺産と認定された場合に同リストに登録され、世界遺産としての価値が失われたと判断された場合は世界遺産リストそれ自体から削除される可能性もある。つまり、世界遺産から抹消されるということもよく承知しておかなければならないということだろう。
そもそも、1972(昭和47)年11月ユネスコ総会で採決された「世界遺産条約」の正式名称は「世界の文化遺産と自然遺産の保護に関する条約」 である。
世界遺産の登録において、文化遺産は国や地域で異なる文化の独自性をアピールしやすいが自然遺産は優位性を科学的に証明しなければならない。そのため、文化遺産が圧倒的に多く登録され増加傾向にある一方で自然遺産は2割弱程度しか登録されておらず、推薦しても登録されにくい傾向にある。
日本でも富士山を含む文化遺産は現在14件登録されているが、自然遺産は屋久島など4件のみであり、自然遺産は全体の22,2%にすぎない。そして、その”地域一帯の自然環境と、そこでの人間の文化的営為(歴史文化)が、ともに顕著に普遍的な価値を有するもの”と認定される複合遺産への登録はまだ1件も申請されていない。
例えば、フランスには年間7,600万人(2003年)の観光客が訪れ、地元の各業界に莫大な金額を落とす。このため、経済上極めて重要な業種の一つとなっており、政府は観光局を設置し、世界各国の出先事務所を通じて自国の観光や産業のPRを進めている。
日本でも、2002年のサッカー・ワールドカップ開催を契機に、外国人旅行者の増加を目指す「グローバル観光戦略」を策定。国土交通省がビジット・ジャパン・キャンペーンを展開し、2010年までに訪日客を倍増(1,000万人)させる計画を立てていた(※11参照)。
日本政府観光局(JNT0。※12 参照)が2011年1月26日に発表した、2010年の訪日外国人旅行者に関する調査(推計値)では、861万1500人となっており、政府目標(ビジット・ジャパン・キャンペーン)には届かなかったものの大きく来訪者が伸びている。
観光資源となるものは様々ではあるが、自然や歴史などを利用する場合には他の産業の発展と両立しがたい場合がある。そして、自然環境や街並み、景観などの保存が求められる場合、工業化や近代化、都市化などが抑制される側面もある。逆に言えば、それらが進展した際観光業が衰退する可能性も出てくるのである。
長所としては、観光業の発展で多くの観光客が訪れるようになると、宿泊や運輸、飲食、旅行業など様々な分野での経済活動が活発になり、経済への波及効果が高い。
逆に、問題点としては、観光客の増加による公害。ホテル・娯楽施設などの建設や観光客によるごみの投棄などでの森林破壊・海洋汚染など自然環境の破壊や、悪臭、騒音など、また、交通量の増加による道路の渋滞、交通機関の混雑等も起こる。そして、地域外から大勢の観光客が訪れることによる文化的な摩擦や、地域の伝統文化の変容などが起こり、地域住民などから反発されることもある。
従って、観光開発には当初さほどの資金が必要とされない場合でも、このような問題の解決には相応の投資も必要となる。それは十分承知の上で観光客の誘致はしなければいけないだろう。
日本を代表する自然景観である富士山は当初、地元自治体などが自然遺産での国内候補入りを目指し最後まで残ったが、ごみ問題、登山者のトイレ問題などがあり、登録が難しいという評価になった。そして、富士山を日本と日本文化を象徴する「名山」とし、古来からの「信仰対象」「芸術の源泉」と位置付け、構成資産を富士山や富士五湖など25件として文化遺産への指定に目標を展じ、登録手続きが進められた。
2013年4月、イコモスが6月にカンボジアで開かれた世界遺産委員会で富士山を文化遺産として登録するよう勧告。名称は「富士山」から「富士山と信仰・芸術の関連遺産群」へと変更し、構成資産のうち三保松原を除いた上で登録すべきという条件付きの勧告だったが、日本政府は、2012年12月時点で「三保松原は欠かせない要素」として除外を拒否したが、富士山から45 kmも 離れた三保松原を構成資産にするのは無理があるということで除外が再度勧告された。これに対して、日本側は最後まで理解を求め、結果的に三保松原も含む形での世界遺産登録がなされ、最終登録名は「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」になったという経緯があった(経緯については。世界遺産登録の経緯のところを参照)。
しかし、その後も、富士山の麓で行われている自衛隊や米海兵隊の軍事演習は文化遺産に大きなダメージを与え続けているという大きな問題も残したままだ。(東富士演習場・北富士演習場問題)。
『富嶽三十六景』他数々の浮世絵などに描かれてきた美しい景観の富士山は世界に誇りうる日本のシンボルであると共に平和のシンボルでもなければならないはずである。
その富士山が昨年6月、世界文化遺産に登録されてから半年以上が過ぎた今年2月、環境対策の宿題が課されており、怠ると登録が取り消される可能性もある・・・として、地元関係者が対応策に追われている・・とのマスコミ報道があった(※13 参照)。
富士山の場合、昨年4月30日にイコモスが富士山の世界文化遺産登録を適当と勧告したため、世界遺産登録が事実上決まり、日本中が沸き立ったが、その陰で他の世界遺産にはない注文がついていたというのだ。
イコモスは、富士山の様々な環境問題を指摘し、2016年2月1日までに「保全状況報告書」という環境保全策を提出せよといっているらしい。富士山のように保全状況報告書の提出を求められるのは異例なことで、文化庁世界文化遺産室は「世界遺産登録後に何らかの問題が生じて、報告書を求められることはあるが、富士山のように登録時点で報告書を求められたケースは他に知らない。半ば、条件付き登録のようなもの」と説明する。過去に登録が取り消されたこともあり、勧告へのいい加減な対応は許されないからだ。どうして日本のメディアは条件付きであった富士山の世界遺産登録について、それを正しく国民に報じようとしないのか(イコモスが課した主な富士山対策は※13 参照)。
日本を代表する登山家であり、エベレストや、マナスル、そして富士山などの清掃登山を精力的に行ってきた野口健氏もこれを心配して、この6月に『世界遺産にされて富士山は泣いている 』と題した本を出版している(※14 参照)。
上掲の画像は朝日新聞への本の広告である。
そして、野口健氏は、美しい「日本の象徴」でいま起こっていることは、日本社会が抱える問題そのものだ!」・・・と嘆いている。
清掃登山に全力を注ぐなかで、環境問題を超える富士山のほんとうの問題に気づいてしまった野口氏は「日本の象徴」の背後で既得権にしがみつき、縄張り争いに奔走する「人間」の姿があったと云う。
そもそも江戸時代の富士山への登山は「弾丸登山」どころか「スローな旅」だったといい、そうした「ほんとうの観光」のあり方を示しているという。
正直私もまだ、この本を読んだわけではないが云わんとしたいことは何となくわかる気がする。
富士山巡礼者。日下部金兵衛により1880年撮影。Wikipediaより。
1993(平成5)年に、日本で初めて世界自然遺産に登録されて、昨2013(平成25)年で20周年を迎えた屋久島でも、来島者の増加による生態系への影響(ヤクシカの人慣れなど野生動物の保全課題、ゴミ投棄、踏みつけによる土壌浸食など)や、し尿処理施設の不足のなど、どこの観光地でも見られそうな問題がまだまだ残っているようだ(※15参照)。
そのようなことから、観光資源としての世界遺産登録ではなく真に豊かな社会の構築の一環として保全活動を推進することの意義をもう一度問い直す必要があるようだ。
富士山と共に世界遺産登録された三保松原も「羽衣の松」を含む多くの松林が徐々に枯死する松枯れも進行しているようで、松食い虫防除のための予防剤注入等その対応に追われているようである(16)が、松くい虫だけでなく、車による観光客増大による被害も考えなければいけないだろう。
また、奈良県が若草山に設置を検討している「モノレール」の建設についても、イコモスが懸念を表明している(※17参照)。
基本的には、貴重な自然や、文化財を守ることを大前提に世界遺産登録されなければならず、そのためには、世界遺産に登録する前に登録された後起こりうることを十分考えその対応策が講じられてから登録すべきものが、観光客の誘致などによる利害優先で登録を急ぎ、観光客が増えたと観光業者などの利害者が喜びはしゃいでいるうちに、徐々にその問題が顕在化してきて困った困った・・と言っている感じに見える。
観光客が増えたから起こった問題など、観光客が増えたことにより利益が上がったと喜んでいる人たちがごみ処理費などの費用を優先的に負担し、その上で、入山者にも協力金を呼びかけるのはわかるが、何か、観光収入で稼ぎはするが費用負担は観光客に負担を襲漬けているようなところが感じられて気持ちが悪い。{世界遺産登録は何の為にしているのか?」・・その原点をしっかりとわきまえておかなければいけないだろう。
日本では自然環境の他、文化・歴史等を観光の対象としながら、その持続可能性を考慮した「エコツーリズム」の普及・推進が2008(平成20)年から環境省などを中心として行われ、それらを体験し、学ぶと共に対象となる地域の自然環境や歴史文化の保全に責任を持つ観光のあり方を示している(※18参照)。よく、理解しておいてもらいたいものだ。
前文のユネスコの活動の中で、文化多様性条約 の採択の話に触れた。
「文化多様性条約」とは、各国が、固有の文化を保護・育成する政策を取る権利を認めた条約であり、2005年10月、第33回ユネスコ総会において賛成:日本を含む百四十八ヵ国、反対:二ヵ国(米国とイスラエル)、棄権:四ヶ国という投票結果により国際的な規範として採択された。
条約は2007年3月に正式に発効し、2010年2月現在、107カ国及び欧州共同体が締結している。一方、我が国は、未だ締結に至っていない。ただこの条約の締結には理想と現実の間にいろいろ大きな問題がありそうなので、まだ、私は意見を書くに至っておらず今回は触れないことにする。興味のある人は以下参考の※190〜※21を参照されるとよい。
(冒頭の画像は国際連合教育科学文化機関の旗)
参考:
※1:こよみのページ
http://koyomi8.com/
※2:温暖化白書』 - 原因や対策など地球環境問題について考える!
http://www.glwwp.com/
※3文部科学省:日本ユネスコ国内委員会
http://www.mext.go.jp/unesco/index.htm
※4:国連の真の魂 — シェアインターナショナル日本語版
http://sharejapan.org/sinews/magazines/si5n7k/c6gix5/hbfreg
※5:パレスチナ ユネスコに正式加盟 アメリカは反発するも外交的には孤立 ...
http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/e/5d3430d90296007c8aecb691e715ebf5
※6:ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の概要 | 外務省
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/culture/kyoryoku/unesco/gaiyo.html
※7:文化庁 | 文化財 | 文化財の紹介 | 無形文化遺産
http://www.bunka.go.jp/bunkazai/shoukai/bunka_isan.html
※8:和の心 | 日本と日本人の文化
http://japanjapanese.net/feature/heart.html
※9:農林水産省/日本食文化を、ユネスコ無形文化遺産に
http://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/ich/
※10:無形文化遺産の保存振興 | 外務省
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/culture/kyoryoku/unesco/isan/mukei2/
※11:訪日外国人観光客の受け入れの推進 - 国土交通省(Adobe PDF)
http://www.mlit.go.jp/common/000043173.pdf#search='2010%E5%B9%B4%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AB%E8%A8%AA%E6%97%A5%E5%AE%A2'
※12 :日本政府観光局 .
http://www.jnto.go.jp/jpn/index.html
※13 :世界遺産は期限付き? 富士山に課された2年の宿題 :日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0400F_V00C14A2000000/
※14 :世界遺産にされて富士山は泣いている | 野口健著 | 書籍 | PHP研究所
http://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-82004-0
※15:屋久島世界自然遺産20周年シンポでのツイートのまとめ
lhttp://d.hatena.ne.jp/yahara/20131020/1382279233
※16:三保松原の松枯れ対策 知事酷評に県議疑問の声 | 静岡新聞 - アットエス
http://www.at-s.com/news/detail/1085175727.html
※17:若草山モノレール計画に、ユネスコ諮問機関(ICOMOS)が懸念を表明 ...
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/f16eab0d765e68f3f6dd20a7347b1729
※18:環境省の取り組み|エコツーリズムのススメ|環境省
http://www.env.go.jp/nature/ecotourism/try-ecotourism/about/index.html
※19:文化的表現の多様性の保護及び促進に関する条約の締結に向けた取り組みについて(建議)-文部科学省
http://www.mext.go.jp/unesco/002/004/1291784.htm
※20:いまなぜ文化の多様性か(Adobe PDF)
https://www.accu.or.jp/jp/accunews/news356/356_01.pdf#search='%E6%96%87%E5%8C%96%E5%A4%9A%E6%A7%98%E6%80%A7%E6%9D%A1%E7%B4%84'
※21:031 UNESCO文化多様性条約 - 集英社新書
http://shinsho.shueisha.co.jp/column/campus2/060925/index.html
世界遺産一覧|世界遺産運動|公益社団法人日本ユネスコ協会連盟
https://www.unesco.or.jp/isan/list/
国際連合教育科学文化機関 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E9%80%A3%E5%90%88%E6%95%99%E8%82%B2%E7%A7%91%E5%AD%A6%E6%96%87%E5%8C%96%E6%A9%9F%E9%96%A2