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体内時計の日

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日本記念日協会(※1)に登録されている今日・3月31日の記念日に「体内時計の日 」があった。
「からだと社会をつなぐ。」を企業ビジョンとするドコモ・ヘルスケア株式会社(※2)が制定したもの。同社の健康的な体づくりを支援する サービス「からだの時計 WM」により、体内時計を整え、健やかな24時間の使い方と、体が持つ本来の力を引き出してもらうのが目的だそうだ。
日付は入社や入学などの新生活の変わり目に、 生活リズムを省みる日として、新年度が始まる前日の3月31日にしたとのことである。

寒くなったり暖かくなったりを繰り返しながら春めいて来ることを、我々は「三寒四温」と言ったりしているのだが、実は、俳句歳時記(※3参照)などでは冬の季語となっている。
三寒四温は、もともとは、中国北東部や朝鮮半島におけることわざであって、シベリア高気圧の勢力がほぼ7日の周期で強まったり弱まったりするからと考えられているが、実際には、日本付近の天候はシベリア高気圧だけでなく、太平洋高気圧の影響も受けるので、三寒四温が日本でははっきりと現れることはなく、一冬に一度あるかないかという程度なのだそうである。
そのため近年では本来の意味から外れて、春先に低気圧高気圧が交互にやってきたときの気温の周期的な変化、という意味合いで使用されることが多くなっており、私などもそのつもりで使っている。
このような季節になると、桜前線も南の方から順に北上してきて、桜(主にソメイヨシノ)も開花する。わが地元神戸の平均的な開花は3月28 日、満開は4月6日ごろとなる。今年は、もう少し早めに花見が出来そうだ。
桜の中でもソメイヨシノのような人工 的に作られた品種の桜は弱くて病気になりやすいので、全国の樹木医達が枯れないように、そして、健やかに花を咲かせるように、地道な努力を重ねておられるようだが、人の体も季節時間の移り変わりには体調を崩しやすいものだ。
それは、花や樹木と同様に、人の体も季節や時間の移り変わりに従って「生物時計」という時のリズムを刻んでいるが、そのリズムが変調をきたしやすいからである。

地球上の生物は全て地球の自転による24時間周期の昼夜変化に同調して、ほぼ1日の周期で体内環境を積極的に変化させる機能を持っており、この約24時間周期のリズム「概日リズム」を形成するための24時間周期のリズム信号を発振する機構(時間測定機構)を生物時計と呼んでいるが、一般的には「体内時計」と呼ばれており、(※4:「e-ヘルスネット 」の休養・こころの健康 > 体内時計参照)。ここではこれ以降、基本的に「体内時計」の語を使うことにする。
なお、概日リズムとは、約24時間周期で変動する生理現象で、動物、植物、菌類、藻類などほとんどの生物に存在している。英名である「circadian rhythm」は、ラテン語の「約、おおむね」を意味する「circa」と、「日」を意味する「dies」から名付けられた。つまり「おおむね1日」の意味である。
簡単に言えば、「体内時計」は、生物が生まれつきそなえていると思われる、時間を測定するしくみのことであるが、通常、人の意識に上ることはない。しかし、睡眠の周期や行動などに大きな影響を及ぼしており、夜行性・昼行性の動物の行動も「体内時計」(生物時計)で制御されている。
以前こ、のブログ「現在の暦「グレゴリオ暦」を編纂したグレゴリウス13世 (ローマ教皇)の忌日」でも書いたことがあるが、人間は、なぜ、どのようにして自然を測るようになったのだろうか?
時間と空間を測り、それによって日常生活を調整しているのはなにもわれわれ人間だけではない。地球上に住むほとんどすべての生物は様々な形で周期性を示す。
その周期性は、地球が自転公転することなどの惑星運動(ケプラーの法則)によって生み出されたものだとされている。
生物の体内は24時間に近い周期に従って短期的な活動を繰り返す仕組みになっている。
生物が生活をしている地球上では、24時間の周期で昼夜が交代し、明るさや温度が変化する。太陽の出没によって生ずるこの周期は、自然環境そのものの時間の節目であり、区切りである。
太陽はいうまでもなく、地球上のあらゆる生物のエネルギー源であり、その出没は生物の一日の生活に基本的な枠組みを与える。かりに体内時計の周期と太陽出没の周期(※5)とがはじめから一致しているとしたら、そこには、時間を測るなどという問題は生じない。同じ時間のリズムで動いてゆくだけのことである。
ところが、両者の周期は異なる。ちなみに、それが故に現代人の概日リズム睡眠障害などは概日リズム機能の低下と結びつけて考えられてもいるのである。
生物はいつも遅れるか進む時計を持っている。生物が太陽エネルギーをもっとも効果的に利用しようとするならば、体内時計は、一日の周期に合わせて動くよ うに自己調整(同調)しなければならない。つまり、周期の差を測り、時間のずれをなくす。生物はこの自己調整能力のお蔭で、環境にある程度の変化が生じ ても適応してゆけるのである。
例えば、毎年移動を繰り返す渡り鳥は、体内時計に照合して太陽の位置を見定め、一方向に飛んでゆくことが知られている。つまり、太陽コンパスを使って、角度を測っているのだそうである。しかし、人類は進化とともに、言語を獲得して後、生物として単に体内時計に依存する生態から脱出し自然に関する知識をつかって、時間測定を計量化し、天文観測(天文学)に基づくを作成するまでになるが・・・。 .
ヒトの生体機能や疾患においても様々な周期性が見出され、そのメカニズムの解明が進められているが、現在、生体内の固有の時計がリズムを形成しているものとして認知されているのは、地球の自転によりもたらされる約1 日(概日)のリズム、月の公転と地球の自転との関係がもたらす潮の満ち干き(概潮汐;24.8 時間)のリズム)、月の満ち欠けによってもたらされる約1ヶ月(概月)のリズム、地球が太陽の周りを公転することによる約1 年(概年)のリズムなどがあり、また、上記以外にも、体や生命現象を現すリズムとして、様々な周期のリズムが存在するようである(※6参照)が、なかでも、最も研究が進んでいるのが日内変動、すなわち、約24 時間周期の概日リズム(体内時計)に関する研究のようである(※5:「生物時計研究グループ」の生物時計研究の年表など参照)。

それでは、体内時計はどのようにして周期の差、すなわち時間を測るのだろうか。
人間においても体温や、ホルモン分泌などからだ(体)の基本的な機能は約24時間のリズムを示すことがわかっており、その体内時計の本体は、の中心部下面にある視床下部の視交叉上核に存在することが分かっているそうだ。

※上掲の画像は、体内時計。体内時計と不眠の総合情報サイト 武田薬品株式会社より借用したもの。
この、体内時計をつかさどる時計遺伝子は中枢だけでなく肝臓、腎臓、心臓などの末梢臓器にも存在が見られ、ローカル時計として機能しており、生物は体内時計の階層構造をうまく利用し、その内部環境を一定の状態に保ちつづけようと恒常性(英:Homeostasis。ホメオスタシス)機能を維持している。
なぜなら、体内時計の発信周期は、必ずしも正確な24時間周期ではなく、ヒトの体内時計の周期は24時間よりも若干長い(約25時間とも言われているが、24時間より短い人も少数ながらいるなどまちまち)ため、体内時計のタイミングを外界の24時間周期の明暗周期に一致させるため、日常生活において、受けるさまざまな刺激(、また、食事や運動、仕事や学校などの社会的な因子=同調因子)、その中でも最も強力な同調因子は光であり、この同調因子によって地球の公転による日長時間の季節変化や、時差地域への急速な移動にともなう明暗周期の変化に体内時計を一致させることができる。
ヒトを含む哺乳類では網膜から体内時計への直接の神経繊維連絡があり、これにより目から入った明暗環境の情報が体内時計に伝達されるが、人の場合は、朝の強い光は体内時計を早める方向に、夜の光はこれを遅らせる方向に働くそうだ。
要するに、人間はこの1日周期でリズムを刻む「体内時計」の支配の中で、生命の営みを続けており、意識していなくても、日中はカラダも心も活動状態に、夜間は休息状態に切り替わり、体内時計の働きで夜になると自然な眠りに導びかれる。そして、体内時計は毎朝光を浴びることでリセットされ、一定のリズムを刻んでいるということなのだ。
体内時計が同調するのは第一に明るさ、そして、第二は温度(※8参照)に対してだといわれている。
ヒトは毎日、太陽が昇ると起床し、食事(栄養)を摂り、暗くなれば睡眠をとるが、現代生活はシフトワークや長時間通勤・受験勉強・インターネットやゲームをしての夜型生活など、睡眠不足や睡眠障害の危険で一杯である。
不規則な食事や睡眠といった生活習慣により、「時計遺伝子」は狂ってしまい、肥満高血圧糖尿病などの生活習慣病から、ガンなどの原因になったり、進行の早い老化うつ病などにも繋がってしまう。
健やかな睡眠があってこそ十分な休養をとることができる。
睡眠が不足すると、生命にとって大切ないわゆる「免疫力」「自然治癒力」などに悪影響があり、成長ホルモンの分泌にも悪影響があり乳幼児・幼児・青少年では身体の成長にも悪影響があり(身長が伸びにくくなる)、睡眠不足では胃や腸の調子が悪くなる人も多い。
そして、精神的には気分に悪影響があり鬱状態になりがちで人間関係も悪くなり、また脳の知的面での基本機能である記憶力、集中力などに悪影響があり勉学仕事にも悪影響を及ぼす。したがって、不健康にならないためには寝不足にならないように気を付けなければいけないのだが・・・・。

厚労省が、世帯面から基礎的な情報を得ることを目的として平成12年に“心身の健康” をテーマとして行った「平成12年・保健福祉動向調査」(※9参照)の睡眠についての調査によると、
「朝起きても熟睡感がない」人が 24.2%で最も多く、以下、「朝早く目が覚めてしまう」(22.0%)「夜中に何度も目が覚める」(19.5%)と、日本人の約5人に1人は睡眠に問題を抱えているという。そして、
1日あたりの“睡眠時間の状況”をみると、「7~8時間未満」「6~7時間未満」の者が多く、年齢階級別にみると、25歳から54歳までは「6~7時間未満」が最も多く、「55~64歳」では「7~8時間未満」が最も多くなっている。
それでも、睡眠時間別にみた休養充足度の状況をみると、「十分にとれた 」人は、9時間以上睡眠を絶った人で45.6%、8~9時間未満では33.7%、7~8時間未満では、19.0%となっており、多くの人が睡眠に満足を得られていないようである。
また、睡眠による休養の充足度が「やや不足」「まったく不足」としている者について、“睡眠不足の理由”をみると、男性は「仕事・勉強・通勤・通学などで睡眠時間がとれないから」が 40.2%と最も多く、特に44歳以下では 50%前後の割合を占めている。一方、女性は「なやみやストレスなどから」が 30.4%で最も多いが、24歳以下では「仕事・勉強・通勤・通学などで睡眠時間がとれないから」「自分の趣味などで夜ふかししたから」の割合が多くなっている。
このような状況に対して、“十分な睡眠をとるために実行した事柄”をみると、「入浴した」が 43.1%で最も多く、以下「規則正しい生活を心がけた」「本を読んだり音楽をきいたりした」となっているが、これを、睡眠による休養の充足度別にみると、“休養が「十分とれた」としている者”では、「規則正しい生活を心がけた」43.2%、「入浴した」41.8%となっており、一方、「全く不足」としている者では、「入浴した」 41.6%、「アルコール飲料(酒)をのんだ」35.4%となっている。
厚生労働省のe-ヘルスネット -(※4)の“休養・こころの健康”の、“快眠と生活習慣”を見ると、快眠のための生活習慣には、2つあり「運動」や「入浴」のように習慣そのものが直接的に快眠をもたらす場合と、もうひとつは、間接的な役割で、良い習慣で体内時計を24時間にきっちりと調節すれば、規則正しい睡眠習慣が身に付いて快眠が得られる。そのための習慣として「光浴」があるが、これらの習慣はそれを行うタイミングが重要だという。
つまり、「光」の効果は体内時計を24時間に調節することにあるが、ヒトの体内時計の周期は24時間より長めにできているため、長めの体内時計を毎日早めないと、ずるずると生活が後ろにずれてしまう。
朝の光には後ろにずれる時計を早める作用があり、起床直後の光が最も効果的なので、朝起きたらまずカーテンを開けて自然の光を部屋の中に取り込むことが必要。そして、“禁物なのが夜の光”だそうで、朝の光と反対に、夜の光は体内時計を遅らせる力があり、夜が更けるほどその力は強くなるため、家庭の照明でも(照度100~200ルクス)、長時間浴びると体内時計が遅れる。また日本でよく用いられている白っぽい昼白色の蛍光灯は体内時計を遅らせる作用があるため、赤っぽい暖色系の蛍光灯(あかりの色の選び方参照)が理想なのだそうだ。その他、朝の食事なども簡単でもよいが脳のエネルギー源として糖分を補給し、体内時計を整えるためにも規則正しい食事が望まれるという。詳しくは※:4 e-ヘルスネットんの快眠と生活習慣参照されるとよい。

睡眠といえば、昔から、8時間睡眠がよいといわれ、私たちは人生の3分の1を眠って過ごしてきたのだが・・・。
本当は、どれくらいの睡眠時間をとればよいのだろうか・・・?
この睡眠時間は人それぞれらしく、日本人の生活習慣とがん(癌)との関連を明らかにすることを目的として、文部科学省の助成を受けて設置され、大規模コホート研究をしているJACC Studyの2004(平成16)年に報告された日本人の「睡眠時間と死亡」の危険率を調べた調査結果(※10参照)では、睡眠時間が7時間(6.5-7.4時間)の人がもっとも危険率が低く、睡眠時間が長い人でも短い人でも7時間の人に比べると死亡しやすいことがわかり、その程度は、4時間未満(4.4時間まで)の睡眠時間では、男性で死亡率は、1.62倍、女性で1.60倍、また10時間以上(9.5時間以上)の場合には男性で1.73倍、女性で1.92倍になっていたという。
また、これに心理要因などを加味すると男性では短い睡眠時間は死亡のリスクを上げないことがわかったが、女性では、4時間未満(4.4時間まで)の睡眠時間の人は7時間の人と比べ2.0倍のリスクとなっており、また、7時間より長い睡眠時間は、男性でも女性でもやはり死亡リスクを上げているという。
ここで、男性では短い睡眠時間が死亡のリスクを上げないのに、女性の死亡リスクが高くなるのは、その背景にある病気や不健康の結果として睡眠時間が短くなっているだけではなく、男性では女性に比べて仕事をしている人が多いことから、何か仕事に関係する要因が睡眠時間を短くしている可能性もあるようだというが、残念ながら、今回の研究だけで結論を出すまでにはまだ至っていないそうだ。
睡眠といえば、昔から、8時間睡眠がよいといわれ、私たちは人生の3分の1を眠って過ごしてきたのだが・・・。
本当に4時間くらいの睡眠で、疲労は回復できるのだろうか?
ヒトは通常、昼間に活動し夜間に睡眠をとるが、ヒトが眠くなるのには、2つの理由があるという。
ひとつは、日中動いて疲れたから、もう一つは、先にも書いた体の中にある「体内時計」が、約24時間で「眠くなる/目が覚める」のリズムを刻んでいるから・・・・。
考えてみれば、ヒトの働き方も昔とはずいぶん変わってきた。ヒトが働く時の「働」の漢字は人偏に動くと書く。昔は、田を耕したり、猟(漁)をしたり、重労働で肉体を酷使したが、時代とともにその働き方も昔とは様変わり、現代のサラリーマンの働き方や、女性の家事労働にしても電化製品の進化等により非常に楽になっているし、また、昔に比べて、休みも多くなり、一日の労働時間も減ってきた。労働の質も量も減ってきたので、日中の労働によるからだの疲労は半減しているのではないか。だから、肉体疲労回復のための睡眠時間も少なくなって当然といえば当然な気がする。
それに比べて、現代社会では肉体疲労よりも 脳の疲労が大きくなっている。
厚生労働省は「健康づくりのための運動指針2006-生活習慣病予防のために-(エクササイズガイド2006)」 (平成18年7月)で、メタボリックシンドロームをはじめ生活習慣病発症を予防するための身体活動量・運動量・体力の基準値を示しており、これにあたって、今までは肥満等にBMIでの測定が普通であったが、新たな指標として、「METs(メッツ)」を使用している(※11の過去の運動基準・指針よりここ参照)。
METs(メッツ)は、身体活動の強度を表す単位であり、運動によるエネルギー消費量が安静時の何倍にあたるかを示しており、1METs(メッツ)は、座って安静にしている状態であり、通常歩行をしている状態は、3METs(メッツ)に相当する(生活活動では 歩行:20分で3METs)。
もう少し具体的に書けば以下のようになる。
1.0メッツ:、静かに座って(あるいは寝転がって)テレビ・音楽鑑賞、リクライニング、車に乗る
1.2メッツ:静かに立つ
1.3メッツ:本や新聞等を読む(座位)
1.5メッツ:座位での会話、電話、読書、食事、運転、軽いオフィスワーク、編み物・手芸、タイプ、動物の世話(座位、軽度)、入浴(座位)
1.8メッツ:立位での会話、電話、読書、手芸
2.0メッツ:料理や食材の準備(立位、座位)、洗濯物を洗う、しまう、荷作り(立位)、ギター:クラシックやフォーク(座位)、着替え、会話をしながら食事をする、または食事のみ(立位)、身の回り(歯磨き、手洗い、髭剃りなど)、シャワーを浴びる、タオルで拭く(立位)、ゆっくりした歩行(平地、散歩または家の中、非常に遅い=54m/分未満)

これを見ると我々の普段の生活は1,5~2メッツといったところだが、、本や新聞等を座って読むだけで1.3メッツと単に座ってテレビ・音楽鑑賞などをしている状態の30%ものエネルギーを使うのだから、ビジネスマンなどが頭や神経を使ってやっている仕事は体を使っている仕事よりも非常に疲労しているということになるだろう。したがって、現代では脳疲労の恢復のための睡眠が重要なのだといわれている。
この脳疲労を回復する即効性のある運動としては、 ストレッチ、体操などの軽い運動、散歩などが適しており、これらの運動習慣は脳疲労回復効果以外に、脳そのものを強化し、疲れにくくする働きがあるとも聞いている。また栄養や食事によって、脳疲労を回復することができる。
とにかく朝起きて、寝るまで、自分では意識をしていなくても脳は、いつも働いて(覚醒おり)、睡眠時でも、浅い睡眠時には覚醒している。
睡眠の状態は、脳波を調べることでわかる。
睡眠時の脳波は、レム睡眠とノンレム睡眠(レム睡眠参照)の2つのタイプに分かれていることは誰もが知っていることだろう。レム睡眠はまぶたの下の眼球運動をともなう睡眠で夢をみている状態であり、脳が活動して覚醒状態にある。
ノンレム睡眠は、レム睡眠でない眠りという意味であり、本当に脳を休ませる眠りで、さらにS1~S4の4段階に分かれる。なかでもとくにS3とS4は、脳波の振幅が高くて周期の小さい波(徐波)が現れる状態で徐波睡眠とよばれるが、いわゆる、ぐっすり寝ている状態で、多少の物音がしたり、軽くゆさぶられても目が覚めることのない深い眠り(熟睡)である。
レム睡眠とノンレム睡眠は、一晩のうちに約90分周期で交互にくり返し現れ、一晩の平均的な 6 - 8 時間の睡眠では 4 - 5 回のレム睡眠が現れる。脳を休めるためには、しっかりと、このノンレム睡眠をとることが重要なのである。
また、体内時計は、睡眠だけでなく「体温」のリズムも作っており、体温の高低のリズムと、睡眠のリズムは連動しているそうだ。
起きている間の体温は高く、夜は体温が低くなる。体温が下がるタイミングにあわせて、眠気が始まる。このときの特徴は、眠いとき、赤ちゃんの手が暖かくなるのと同じで特定の皮膚部位(ここでは手足の甲)から熱を外界に逃がすことで体全体の代謝を下げ、これに引き続いて脳の温度も下がって眠りに入るのだという。
人間の脳はほかの動物とくらべて、高い機能をもっており、昼間は脳をフルに使って生活している。そこで疲れた脳が オーバーヒートしないように、脳の温度を下げて休ませ、脳の疲労を回復させるのが睡眠(※12参照)であり、その対策として、一番簡単で効果的な方法が眠る1時間位前に38〜40度の「ぬるめ」の風呂に20分位入ることのようだ。
体温が下がれば、眠気が出てくる。深く寝入ったら、成長ホルモンがたっぷり出る。そして光を浴びると、眠りは去ってパッチリ目覚める。

体内時計に基づくリズム(周期)は、実は一つだけではなくもうひとつある。眠りの基本は約24時間の周期で動くリズムだが、このほかに約12時間周期のリズムもあるといわれており、これが「昼間に眠くなる」作用を起こすそうだ。昼食の後眠くなるのは満腹のためではなく、このリズムが原因であり、だいたい午後2時~4時ころにかけて起こる自然な生理現象なのだそうで、南ヨーロッパや南米の「シエスタ」という昼寝の習慣があるのもそのためのようだ。20~30分程度の昼寝は脳と体をリフレッシュし、生産性を向上させることがわかっているという。
私なども、昼食後よくうつらうつらしているが、これは年のせいかと思っていたのだがそうではなかったのだ。午後の眠気対策に短時間の仮眠(昼寝)はいいことのようだ、ただ、長く居眠りすると夜寝れなくなるので気を付けなければいけないが・・(※13のここ参照)。

年齢とともに体力が落ち、老眼になり、白髪が増えるのと同じように睡眠にも以下のような変化が生じる。
その第一は、若い頃にくらべて早寝早起きになる。これは体内時計の加齢変化によるもので、睡眠だけではなく、血圧・体温・ホルモン分泌など睡眠を支える多くの生体機能リズムが前倒しになるのだそうだ。したがって高齢者の早朝覚醒それ自体は病気ではなく、眠気が出たら床につき、朝方に目が覚めて二度寝ができないようであれば床から出て朝の時間を有意義に使った方が良いのだそうだ。
第二の変化は、私などもそうだが、睡眠が浅くなること。睡眠脳波を調べてみると、深いノンレム睡眠が減って浅いノンレム睡眠が増えるようになっているからだそうで、そのため尿意やちょっとした物音などでも何度も目が覚めてしまうことになる。
昔から、「早起きは三文の徳」という諺があり、私たちもそれを良しとしてきた。しかし、この諺、元々は「早起きしても三文ほどの得しかない」という意味で使われていたともいわれている。
眠気もないのに「やることがないから・・・」と言って、寝床に入ると、寝つきは悪くなるし、中途覚醒が増えてしまう。若い人のように、労働でエネルギーを消費することもなくなっているのだから、眠れる時間が短くなるのは当然なのだろう。そのくせ、高齢者ほど睡眠時間が短くなるのに寝床にいる時間が長くなっている…(※4:「e-ヘルスネット」の高齢者の睡眠参照)。結果として夜も眠れぬままに寝床でうつらうつらしている時間が増えて睡眠の満足度も低下しているわけだ。反省しなければいけない。
現代社会では、仕事の関係などもあるのだろう、「宵っ張りの朝寝坊」も多くなったようだ。睡眠時間やリズムは、人それぞれ。少なくとも、睡眠に関する限り、 朝型か夜型か、どちらの型であっても昼夜リズムが社会の時計と同調し、生活が規則的に繰り返されている限り問題はないようだ。したがって、睡眠のメカニズムや、自分の睡眠特性を知って、「良いねむりと良い目覚め」を目指したいものである。


参考:
※1:日本記念日協会
http://www.kinenbi.gr.jp/
※2:ドコモ・ヘルスケアHP
http://www.d-healthcare.co.jp/
※3:俳句歳時記 季語
https://sites.google.com/site/haikukigo/
※4:e-ヘルスネット - 厚生労働省
http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
※5:出没にまつわるはなし|天文・暦情報|海上保安庁海洋情報部
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KOHO/faq/astro/sunrise.html
※6:生体リズムと時間薬理学 - 早稲田大学(Adobe PDF)
https://www.waseda.jp/wias/eng/achievement/bulletin/data/y_edagawa_2010.pdf#search='%E6%BD%AE%E3%81%AE%E6%BA%80%E3%81%A1%E5%B9%B2%E3%81%8D+24.8+%E6%99%82%E9%96%93+%E3%83%AA%E3%82%BA%E3%83%A0'
※7:生物時計研究グループ 花井修次HP
https://staff.aist.go.jp/s-hanai/index.html
※8:体内時計をつかさどる「時間の定規」を発見 | 理化学研究所
http://www.riken.jp/pr/press/2009/20090901/
※9:平成12年 保健福祉動向調査の概況(心身の健康) - 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hftyosa/hftyosa00/index.html
※10:睡眠時間と死亡との関係-JACC Study
http://publichealth.med.hokudai.ac.jp/jacc/reports/tamaa1/index.html
※11:運動施策の推進 |厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/undou/index.html
※12:睡眠と体温|体温と生活リズム|テルモ体温研究所
http://www.terumo-taion.jp/health/sleep/01.html
※13:ねむりラボ-オムロン
http://nemuri-lab.jp/
Webナショジオ睡眠学
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20121127/332007/
元MRが語る・医療と生物の信じられない実態2
http://www.unlimit517.co.jp/repomedi2.pdf#search='体内時計 太陽の出没'
睡眠学の1 短時間睡眠の方が長寿?!武田邦彦 (中部大学)
http://takedanet.com/archives/1053522401.html
日本睡眠学会
http://jssr.jp/data/kiso.html
日本時間生物学会
http://chronobiology.jp/
「早起き」すると寿命が縮む!オックスフォード大学の研究で判明現代ビジネス
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45782



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