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夏の最中日北上の極:夏至

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今日は、二十四節気の第10。夏至(げし)。芒種から数えて15日目頃、および小暑までの期間。
「夏の最中日北上の極」。『暦便覧』(※1)には「陽熱至極しまた、日の長きのいたりなるを以て也」と記されている。
五月中(旧暦5月内)二至二分(皐月:さつき。二至二分については、二十四節気を参照)。
現在広まっている定気法では太陽視黄経が90度のときで6月21日ごろ。
ではそれが起こる日だが、天文学ではその瞬間とし、2013(平成25)年 の今年の場合は、今日・6月21日14:04がそれにあたる(※2)。また、日のほうは夏至日(げしび)と呼ぶ。
北半球の日本などでは、天文学的な夏至とは別に「一年中で一番昼が長く、夜が短い日」のことを、慣習的に夏至と呼ぶが、これは、太陽が最も北に寄り、北回帰線(夏至線)の真上にまで来るために起こる現象である(南半球では夏・冬逆)。
英語などヨーロッパの言語の多くでは、北回帰線のことを「かに座の回帰線」(Tropic of Cancer)と呼ばれる。これは、現行の星座の多くが設定された古代バビロニアの時代、かに座の領域に夏至点があったためである。因みに、南回帰線(南緯23度26分)のことは「やぎ座の回帰線」[Tropic of Capricorn] と呼ぶ。)
要するに、両緯度数は地軸の傾きを意味する。ただし地軸の傾きは常に変化し続けているので時々で回帰線の位置も微妙に変わる。両回帰線より赤道側が熱帯地方となる。
1年で日の出(日出)の時刻が最も早い日および日の入り(日没)の時刻が最も遅い日それぞれと、夏至の日は一致しない。日本では、日の出が最も早い日は夏至の1週間前ごろであり、日の入りが最も遅い日は夏至の1週間後ごろである。
夏至は、期間としての意味もあり、この日から、次の節気の小暑前日までである。暑さのピーク大暑は1カ月ほど先になる。
冬至と比較すると、昼間の時間差は4時間以上もある。ただ、暦の上では夏季の真ん中にあたるが、実際には梅雨の真っ只中なので、日照時間はむしろ冬よりも短いことが多く、日の長さはあまり実感されないことが多いのだが、今年に関しては気象庁が平年より10日も早い5月28日ごろに梅雨明け宣言(近畿地方。※3参照)。
そして、「今年の梅雨は「長め」で、降雨量は多め」としていたのだが、肝心の雨は梅雨入り以降全く降らず、まるで真夏日のカンカン照り、せっかくの台風3号が前線も連れてきて本格的に梅雨になるかもと期待したのだがそれも期待はずれ。
また、6月15日やっと雨らしい雨が降ったが、その翌日には真夏日同様の天候に戻ってしまい、梅雨入り宣言は全くのはずれ。やっと6月19日には待望の雨が降ったが、地域によっては豪雨となり被害の出ているところもある。
近年の異常気象・・・人間がまいた種によるものだろうが困ったものだ。兎に角、例年とは全然違った感じの夏至となった。

「さみだれに なえひきうふる たごよりも ひとをこひぢに われぞぬれみる」( 読人不知)。
【現代語訳】五月雨に濡れて泥にまみれながら苗を植える農夫の苦労なことであるが、それよりもなお私は、泥(こひぢ)ならぬ恋路(こひぢ)にさまよって、五月雨ならぬ涙にぬれていることだ。
【語訳】五月雨:陰暦五月(新暦:5月下旬から7月上旬)ごろに降る長雨。梅雨。 なへひきふる:稲の苗を苗代から引き抜いて水田に植える。 たご:田子。農夫のこと。こひぢ:泥のこと。ここでは「恋路」を掛けてある。「こひぢ」「ぬれ」は「たご」の縁語。
【所載】『夫木抄』(『夫木和歌抄』)巻七:夏一 02579(参考の☆和歌についてを参照)

田植えの時期は各地でまちまちだろうが、少なくとも夏至の間は、今でも稲作作業の繁忙期であることには違いない(※4).。

「白衣著て禰宜(ねぎ)にもなるや夏至の杣(そま) 」( 飯田蛇笏 、いいだだこつ)

禰宜」とは、神社に奉職する神職の職階(職名・職称)の一つである。宮司・権宮司の下の位ぐらいらしい。
禰宜の語源は「和ませる」の意味の古語「ねぐ」であり、神の心を和ませてその加護を願うという意味だそうである。古代には、神に祈請(きせい)を行う者、祭祀に専従する者を指していた。
」(そま)とは、古代・中世の日本では国家・権門が所有した山林のこと。転じて杣から伐り出された杉や桧など木のこと。また、杣において働いている人のこと。杣工(そまたくみ/そまく).。俗にいえばきこり(樵、木樵)のことをいうようになった。
飯田蛇笏(本名、飯田武治、1885【明治18】年- 1962【昭和37】年10月3日)は、山梨県東八代郡五成村(のち境川村、現:笛吹市)の大地主で旧家出身の俳人であり、山梨の山間で創作した作品が大半である. 参考※5:「俳句案内」の飯田蛇笏の句を参照)。
いままで木を伐っていた木こりが、 真白な衣服をまとって神主の代役を務め、雨を願っている様子が滑稽でもあり悲壮でもある。ここへきてやっと雨が降ったとはいえ、今年は、農家の人も水不足で困っていたことだろう。
梅雨期は大雨による災害の発生しやすい時期であり。また、梅雨明け後の盛夏期に必要な農業用の水等を蓄える重要な時期でもある。一方、梅雨期は曇りや雨の日が多くなって、日々の生活等にも様々な影響を与えることから、社会的にも関心の高い事柄である」・・・として、気象庁では、毎年「梅雨入り」「梅雨明け」の発表しているのだが、今の科学技術をもってしても、梅雨入り、梅雨明けを正確に予知するのは難しいことのようだ。「後日、春から夏にかけての実際の天候経過を考慮した検討を行い、その結果、この情報で発表した期日が変更となる場合があります。(確定値は「昭和26年(1951年)以降の梅雨入りと梅雨明け(確定値)」を参照してください)と、予報発表時に正しい時期は後に修正して発表しますと、予防線を張っているのだから、・・・。
一応、暦の上では、夏至とは、この日を過ぎると本格的な夏が始まることを意味している。
冬至には、かぼちゃを食べる風習があるが、夏至は地方によって様々で、関西では夏至から半夏(半夏生の略)までにタコを食べる習慣があることは前にこのブログ「半夏生/蛸の日」でも書いたことがある。
このころは農家にとっては大事な節目の日でもあり、半夏生に入る時期は、田植えに最も適した時期だといわれ、「チュウ(夏至)ははずせ、ハンゲ(半夏生)は待つな」ということわざがある程で、田植えは夏至が済み、半夏生に入る前にやることが好ましいとされていた。
ちょうどこの時期は梅雨も終り、田植仕事も一段落、農家にとって一息いれたい時期であるが、この日雨が降ると、必ず大雨になるとも言い伝えられ、この季節に降る豪雨のことを半夏雨(はんげあめ)と呼び恐れられていた。
半夏生の前に無事田植えを終えた農家では、この日の天候で稲作の豊凶を占ったり、田の神を祭ったりする。関西地方では、田に植えた稲の苗が蛸の足のように大地にしっかりと豊作になるようにとの願いから、たこを食べる習慣があって、甘露煮、柔らか煮、酢だこ、天ぷらなどが作られる。
讃岐では饂飩(うどん)を、福井県では大野市などで焼き鯖(半夏生鯖)を食べる習慣があるようだ。また、奈良では小麦餅(半夏生餅)、 関東地方では新小麦で焼餅をつくり神に供える風習があるなど、地域によってさまざまである。
沖縄では、この頃に吹く季節風を「夏至南風」といい,梅雨明けを知らせる風として知られているが、今年、沖縄気象台は、6月14日午前11時、「沖縄地方は梅雨明けしたとみられる」と発表した。これは平年より9日、去年と比べても9日早くなっているそうだ(※6参照)。
余談だが、福島原子力発電所事故の影響もあり、今年の夏も電力不足が心配される。わが地元、兵庫県では、今年は、今日・6月21日(金曜日)[夏至]から9月30日(月曜日)の間、始業時刻を45分早め、昼休みを30分後ろにシフトするサマータイムを実施することになった。
そのほか、職員の省エネ行動をはじめとした節電対策により、兵庫県として、平成22年度比で15%以上の節電目標の達成を目指している(※7参照)。我が家も、すでに、6月に入ってからは、就寝時間並びに起床時間をそれぞれ30分繰り上げている。

記紀によれば、天照大神は、太陽を神格化した神であり皇室の祖神(皇祖神)の一柱で、日本民族の総氏神でもあるとされており、その信仰の対象、土地の祭神とされる場所としては伊勢神宮が特に有名である。
三重県伊勢市二見浦には、夏至の時期だけ夫婦岩の間から朝日が昇る。これは夏至の日の前後2ヶ月しか見られない特別な光景だそうであり、この海中には興玉神石(沖の石)があり、昔からその沖の石は、常世の国から神が寄りつく聖なるところといわれてきた。
二見町江にある二見興玉神社 は夫婦岩より720m程沖合にあって、夫婦岩は日の大神(天照大神)と興玉神石を拝むための岩門(鳥居)の役目を果たしており35mの大注連縄が張られている。
そして、二見興玉神社の夏至祭では、夏至の日の出とともに夫婦岩の前で禊が行われている。古来より二見浦一帯は禊浜と尊ばれ、伊勢参宮を間近に控えた人々がその浜辺で汐水を浴び、心身を清め、罪穢れを祓うべく、禊祓をした場所であった。
また人々は夫婦岩から差し昇る「日の大神」を拝してきた。特に夏至の日の出は夫婦岩の中央、そして富士の背より輝き昇る朝日は絶景である。夫婦岩の間から見える富士山の遠望風景は、倭姫命があまりの美しさに二度も振り返って見たと言う事で付いた地名が「二見」だと言われている。以下で、夏至際の様子、また、夫婦岩の間からの素晴らしい富士山の遠望が見られる。

二見興玉神社 夏至祭wmv-YouTube
夫婦岩と富士山(二見興玉神社).wmv-YouTube

日照時間の短い北欧などは、昼間の最も長い夏至は、とても大切な日であり、フィンランドをはじめ、さまざまな国で夏至祭が催されている。スウェーデンでは、夏至に最も近い土曜日とその前日の2日間が祝日(移動祝祭日)となり、国中で祝うそうだ(ヨーロッパの夏至祭参照)。
ヨーロッパの夏至祭は、町や村の広場に横たえられた柱に、樹木の葉や花の飾りがつけられ、若者たちが中心になって柱を立てる。この祭は、ドイツやイギリスで行われる五月祭(ヨーロッパの五月祭参照)の柱(メイポール)と類似しているが、北欧では5月初旬には花が乏しいため、夏至の時期に祭を行うようになったという。
ヨーロッパの五月祭は、古代ローマの祭に由来するものであり、5月1日に、豊穣の女神マイア(Maia)を祭り供物が捧げられた。ローマ神話では、マイア(豊穣を司る大地の女神、アトラスの娘で火の神ウルカヌス(ヴァルカン(【Vulcnus】)の妻)は若さ・生命・再生・愛・繁殖などをつかさどる女神で、元々はローマ帝国以前の古代イタリアの春の女神(植物を成長させ開花させる暖かさをもたらす)だったようで、夏の豊穣を予祝する祭りと考えられている。
5月1日には供物が捧げられ、May(5月)はマイア(Maia。古インド・ヨーロッパ語のMagya【偉大なる彼女】)に因んで名づけられたものという。
マイアと火の神ウルカヌス(Vulcan) - 画像

わが国での導入は古くから試みられたが、「夏至」という言葉が入って来たのは、中世になって中国から二十四節気が入ってきてからであり、その後、各地で太陽の生命力を得るために夏至の日を祝うお祭りが開催されるようになった。
国家の体制を整えるために、中国から暦法祭祀を入れて律令を作ったが、制度に暦法が組み入れられたのは持統天皇(645年 - 703年)の御世であり、以来宮中の正式な祭祀になっているが、そのため、わが国の節句を含む年中行事に中国の影響が強く残っているのは当然であろう。
大麻暦(神宮暦)というのは伊勢神宮が発行している暦だが、これを見ると神宮の祭祀スケジュールのほかに、農作業の時期と段取りが細かく指示されているようだ。
暦は季節の運行を告げるものだから、農耕社会にあっては必然的に農業暦の役目を果たしていたわけで、稲作の社会に、神道と中国の祭祀を携(たずさ)えて立っていた大和朝廷の性格を垣間見ることができる。
日本では現在使われているような暦がまだなかったころ、稲作の作業の進行を基準にして、一年を、田の神を迎えて種まきをする春と、米を収穫して田の神送りを行う秋との、大きく二つの期間に分けて考えていた。
そのため、六カ月を周期として、正月と七月、二月と八月、三月と九月、四月と十月、五月と十一月、六月と十二月に、同じような行事を、それぞれ年に二度繰り返して行っていた。なかでも六月は、前の半年の折り目として重視する風潮があり、持別の意味をもった月と見られていた。

この時期はハナショウブ(花菖蒲)やアジサイ(紫陽花)など雨の似合う花が咲く季節でもある。
夏至を含む旧暦5月を皐月(さつき)と呼ぶが、「さつき」は、この月が田植をする月であることから「早苗月(さなへつき)」と言っていたのが短くなったものだそうである。また、「サ」という言葉自体に田植の意味があるので、「さつき」だけで「田植の月」になるとする説もあるようだ。
「さつきは五月の和名なり日本書紀、〈神武紀〉萬葉集〈夏雜歌〉等にみえたり」と、古今要覽稿 時令(※9:「古事類苑データーベース」の歳時部一>歳時總載上>月第 1 巻 19 頁参照)にあるが、皐月と書くようになったのは後のこと。また花の名「皐月」にもなっているが、この月には「菖蒲月(あやめづき)」の別名もある。
農家にとって、昔から田植えは1年中で最も大切な仕事である。その為、田の神を迎えるに際して、女は巫女となり、軒に菖蒲を挿し、菖蒲湯を湧かして身を清め、お籠もりをしたのが5月5日だったのである。

「ほととぎす こゑきゝしより あやめぐさ かざすさ月と しりにしものを」( 作者:紀 貫之
【現代語訳】時鳥の声を聞いた時から、菖蒲草をかざす五月になったと知っていたのだが・・・。
【語釈】あやめぐさかざすさ月:五月五日の節句には菖蒲鬘を付ける風習があった。
延喜式・太政官関係の式に「是ノ日内外ノ群臣皆菖蒲ヲ著ス」とある。「ほととぎす」と「あやめ草」は「卯の花(ウツギ)」「花橘(タチバナの花)」とともに万葉集以来の常套的な取り合わせであった。
【所載】新勅撰集・夏・一五三、/貫之集一・二二八(参考:☆和歌について参照).

「あやめぐさ ねながきいのち つげばこそ けふとしなれば 人のひくらめ(詠み人不明)
【現代語訳】あやめ草は根が長く、長い命を持ち続けるからこそ、五月五日という今日になると、人が抜き取るのであろう。
『語釈】ねながきいのち:根の「長き」ことに「長き命」を懸けている。つげばこそ:引き続き保持しているからこそ。けふとしなれば:今日と言うこの日になれば。「し」は強意助詞。人のひくらめ :人があやめの根を引くのであろう。「引く」は、この場合引いて抜き取ること。【所載】あやめぐさ 貫之集一・一三一.(参考:☆和歌について参照)
ここで「あやめぐさ」と言っているものは、現在のサトイモ科のショウブ(和名:菖蒲/別名[漢名]:白菖[ハクショウ])のことで、今のアヤメ科のアヤメハナショウブとは異なる。湿地に群生し、初夏に黄色い小さな花をつける。
万葉の時代から、端午の節供には、邪気を払うためにこの草やヨモギ(蓬)の葉などを編んで、薬玉(くすだま)をこしらえ、これに5色の糸をつらぬき、またこれに、ショウブやヨモギなどの花をさしそえて飾りともした。
このことは前にこのブログ「薬の日」でも書いたが、『荊楚歳時記』に見られるように、古代中国では、五月は物忌みの月とされていたので、邪気を払ういろいろな行事が行われていた(「薬の日」を参照)。
実際に、旧暦の五月は新暦では6月から7月に当たり、蒸し暑くて虫などに刺されて病気になり易かった。そこで高い薬効と強い香りを持つヨモギが魔除けや虫除けに使われ端午行事に欠かせないものとなった。

「みな月の なごしのはらへ するひとは ちとせのいのち のぶといふなり」(詠み人不明)
【現代語訳】六月の夏越の祓をする人は、千歳までも寿命が延びるということです。
【所載】拾遺集・賀・二九二, (参考:☆和歌について参照).

特に重視された旧暦の六月であるが、古来、宮中では、年末と6月の末日に大祓(おおはらえ)が行われていた。年末は年越しの祓、6月は夏越の祓・名越の祓(なごしのはらい)、などと呼ばれ、災厄や穢(けがれ)を祓い清めた。夏越の祓では多くの神社で「の輪潜り(ちのわくぐり)」が行われる。
また、古く宮中では六月一日には「氷の朔日(こおりのついたち)」ともいって夏の始まりであるこの日に氷室に貯蔵しておいた氷を取ってきて、臣下に分け与えて、夏の疫病除けとしていた。これを「氷室の節供」「氷の節会(せちえ)」ともいわれたようだ。
民間でも、この日を〈氷の朔日〉といい、正月に家の軒先に吊るして凍らせ乾燥させて保存しておいた餅を焼いて食べる習慣が、かっては関西を中心に多くみられたようだ。
そして、これを「歯固め」と呼んで、堅い餅を食べることによって歯を丈夫にするのを願う風習もある。「歯固め」は、正月初めに堅いものを食べて歯を丈夫にし、長寿を願うことで、歯固めのは元来〈齢(よわい)〉のことで、齢を固めて新たに生まれ変わるところにこの風習の意味があったという(※10)。
伝統を大切にする京都では今でも、夏越祓に「水無月」という和菓子を食べる習慣があるが、水無月は白のういろう生地に小豆を乗せ、三角形に包丁された菓子であり、水無月の上部にある小豆は悪霊ばらいの意味があり、三角の形は暑気を払う氷を表していると云われている。
古く、中国の『荆楚歳時記』には、年頭に膠牙餳(こうがとう)という堅いあめを食べる風習が記されている(※11参照)。この風が伝わり、歯固めの具としてさまざまなものが用いられた。
その中の一つが正月の堅い餅や固いお菓子、食べる風習であるが、これは地方によって少しずつ形の異なる様々な行事へと変化し、関東地方では、収穫したての新小麦で焼き餅を作って神に供える風習があるらしいがこれも元をただせば同じことから始まったものであろう。
今日6月 21日の記念日に、「スナックの日」がある。スナック菓子のメーカーが夏至を記念して提唱したことが始まりだそうだが、かつては、夏至のお祝いに、ちまきによく似た「カクショ(角黍)」やお正月のおもちを固くして食べる「歯固」の習慣があったことに由来しているという(※12)。
ちまき」は、もち米やうるち米、米粉などで作った餅、もしくはもち米を、三角形(または円錐形)に作り、ササなどの葉で巻き、イグサなどで縛った食べ物であるが、その語源について、承平年間(931年 - 938年)に編纂された『倭名類聚鈔』には「和名知萬木(ちまき)」という名で項目があり、もち米を植物の葉で包み、これを灰汁((アク)で煮込むという製法が記載されているそうだ。
日本ではもともとササ、蘆(あし)ではなく(チガヤ)の葉で巻いて作られたため『ちまき』と呼ばれていたようだが、『伊勢物語』(五十二段)には、「人のもとより飾り粽 おこせたりける返事に、菖蒲(しょうぶ)刈り 君は沼にぞまどひける 我は野に出でてかるぞ わびしき」とあり、昔は菖蒲の葉も用いたようである(Wikipedia)。
もう1つ、この日の記念日に「冷蔵庫の日」がある。これから暑い夏がやってくる前に冷蔵庫の点検をしてもらおうという趣旨で、日本電機工業会が制定したもの(※13)だが、これも夏越の祓「氷室の節供」などを由緒とするものである。
兎に角、遅ればせながら雨が降り梅雨がやってきたようだが、この時期気を付けないと体調を崩しやすいが特に食べ物には気を付けないと(※14)。
それと、意外に思うかもしれないが、6月、7月は年間を通して紫外線の量が最も多くなる月だという。例えば6月においては、冬の12月と比較した場合、紫外線の量は6倍程だそうで、6月の雨の日であっても、12月の晴天の日と同量〜2倍弱の紫外線の量が、また6月の曇りの日では、12月の晴れの日の実に3倍〜5倍弱の紫外線が降り注いでいることになるらしいから特に女性の方などは気になるところだね(※15)。

「五月雨や大河の前に家二軒」(与謝蕪村 「蕪村句集」※16参照)
【句意】五月雨が降り続いて水かさを増した大河が濁流渦巻いて流れていく。その岸辺に小さな家がぽつりと二軒、今にも押し流されそうに建っているよ、といった意味。
夏の季語:「五月雨(さみだれ)」は、陰暦五月、梅雨期に降り続く雨のことで、梅雨は時候を表し、五月雨はこの時期の雨を表すという。「さつきあめ」または「さみだるる」とも詠まれるが、「さ」は「早苗(さなえ)、五月(さつき)を、「みだれ」は水垂(みだれ)の意という。
農作物の生育には大事な雨も、長雨が続くと交通を遮断させたり水害を起こすこともある。かっての梅雨は毎日毎日、しとしとと振り続く鬱陶しい雨であった。そんな雨でもいつまでも降り続けると大きな災害をもたらした。
しかし、近年の梅雨時の雨の傾向はこれまでとは変わったような気がする。地球温暖化などの影響もあるのだろう、余り雨の降る日は続かないが、降るるときは局地的にどっと大雨が降り、各地に大きな被害をもたらしている。
今年もそのようである。台風4号が梅雨前線を刺激して各地での豪雨被害が報じられている。今までの暦や過去データーなどに基づく気象予報も当てにならなくなった。これからの時代は今まで異常気象といっていたものが普通になるかもしれない。クワバラクワバラ(桑原桑原)。

(冒頭の画像は、浮世絵「東京名所四十八景 二十二 堀切はなしよふふ五月雨」、昇斉一景画、明治4年=1871年。参考※17 :「かつしかデジタルミュージアム」より借用。
東京都葛飾区堀切二丁目にある堀切菖蒲園は花菖蒲の名所として知られており、江戸時代の有様をしのびながら、数多くの江戸菖蒲(200種6000株もあるらしい)を鑑賞できるのが特色のひとつだという。)
参考:
☆和歌について
・和歌掲載集については→日文研データベース :和歌 作品集成立年順索引を参照。
・和歌の解説については→ここを参照。
※1:吉田光由の古暦便覧について
http://www5.ocn.ne.jp/~jyorin/kirisitankoreki.pdf#search='%E6%9A%A6%E4%BE%BF%E8%A6%A7%E3%81%A8%E3%81%AF'
※2:国立天文台 > 暦計算室 > 暦象年表 > 二十四節気・雑節
http://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/cande/phenom_sekki.cgi
※3:気象庁 | 平成25年の梅雨入りと梅雨明け(速報値)
http://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/baiu/sokuhou_baiu.html
※4:お米〜5 米のできるまで - 農林水産省
http://www.toukei.maff.go.jp/dijest/kome/kome05/kome05.html#トップ
※5:俳句案内
http://www5c.biglobe.ne.jp/~n32e131/haiku.html
※6沖縄地方が梅雨明け平年より9日早く NHKニュース - NHKオンライン
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130614/t10015296141000.html
※7:兵庫県/兵庫県サマータイムの実施
http://web.pref.hyogo.lg.jp/kk28/summertime.html
※8:旧暦調べカレンダー
http://www5a.biglobe.ne.jp/%257eaccent/kazeno/calendar/1960s.htm
※9:古事類苑データーベース
http://base1.nijl.ac.jp/~kojiruien/index.html
※10:よもやま話 / 安楽寺だより
http://anraku-ji.jp/yomoyama/598/
※11:古事類苑>歳時部十二>年始祝四>齒固
http://base1.nijl.ac.jp/~kojiruien/saijibu/frame/f000816.html
※12e-お菓子ねっと
http://www.eokashi.net/
※13電気冷蔵庫 - 社団法人・日本電機工業会(JEMA)
http://www.jema-net.or.jp/Japanese/ha/reizouko/
※14:健康管理について
http://www.majima-clinic.jp/health/health66.html
※15:紫外線の量【雨天や曇りの日】 :紫外線の雑学
http://ray.sunsetbearch.net/cat0001/1000000004.html
※16:蕪村句集 (俳詩掲載)
http://www4.ocn.ne.jp/~sas18091/haiku4.html
※17 :かつしかデジタルミュージアム
http://www.museum.city.katsushika.lg.jp/kdm/index.php?app=shiryo&mode=list&code_a=02&code_b=01&code_c=01&p=

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