Quantcast
Channel: 今日のことあれこれと・・・
Viewing all articles
Browse latest Browse all 292

資産運用の日

$
0
0
日本記念日協会の今日・4月3日の記念日に「資産運用の日」があった。
“資産を運用する意味や利点、その必要性を正しく理解してもらおうと、資産運用業務を行うフィデリティ投信株式会社が制定したもの。日付は4と3で資産(しさん)の語呂合わせから。 ・・・とある。
フィデリティ投信株式会社(Fidelity Investments)は、1969(昭和44)年、外資系運用会社として初の日本進出を果たした米国の投資会社で、同社HPには、 “1995(平成7)年には、日本にて、証券投資信託委託業務免許を取得し、国内向け投資信託の運用を開始。現在では、日本株の調査・運用拠点として、海外顧客の日本株運用、日本の年金基金や機関投資家資金の運用、投資信託の設定・運用を手がけ、 約160社の金融機関を通じて、日本の投資家に投資信託をご提供している。 現在、フィデリティは世界の主要なマーケットにおいて、個人投資家から機関投資家まで幅広いニーズに対応した資産運用サービスを提供している”とある(※1参照)。
資産運用とは、自身の持つ資産貯蓄投資したりすることによって、効率的に資産を増やしていくこと。また、銀行や投資信託会社(※2参照)など様々な企業の機関投資家が集めた資金を債券や不動産などに投資することをいう。
機関投資家とは、顧客から拠出された資金を運用・管理する法人投資家の総称であり、機関投資家として、生命保険会社損害保険会社、銀行、信託銀行投資銀行証券会社総合商社ヘッジファンド投資ファンド投資顧問会社年金基金などがあげられる。例えば、損害保険会社、生命保険会社などは加入者の保険料収入(※3)を、信託銀行は投資信託を購入した人たちの資金を元手としている。
このように機関投資家といっても、様々なケースがあり、それぞれの立場によって、リスクに対するポジションが異なるが、一般的には、個人的な資金を扱っているわけではないため、リスク回避的な立場を取るケースが多い。そのため単一の資産ではなく、複数の資産に分散投資を行うことで、リスクを回避し、安定的なリターンを求める傾向が強い。ただ、大量の資金となり、基本的に長期運用を考えた投資を行っているので、その動向が中長期的な株価市場(証券市場)へ与える影響は大きいといえる。
ところで、このような機関投資家ではなく、我々個人の資産運用の方法について考えてみよう。
一般の勤労者が、労働の対価として得た給与やボーナスなどの個人所得から、支払い義務のある税金社会保険料など強制的に支払わされる支出(非消費支出)を差し引いた、残りの手取り収入(実収入)、つまり、個人が自由に使用できる所得の総額、これを、経済用語では「可処分所得」と言う。
故に、この可処分所得の大きさが個人の購買力を測る際の一つの目安ともされているが、ここ数年、勤労者世帯では非消費支出の伸びが収入の伸びを上まわっており、可処分所得や消費支出が横ばいとなっている。非消費支出は、今後さらに増大する傾向を示している。所得の伸び率が低く、この支出がのびると可処分所得が減少し、消費が減退する傾向がみられる(※4の家計調査【家計収支編】時系列データ【二人以上の世帯】、又、※5を参照)。
この可処分所得から消費支出(生活必需品の購入、公共料金の支払い、レジャー費、教育費など)を差し引いた残りが、家計の「貯蓄」となる。
言い換えれば、経済用語としての「貯蓄」とは、「可処分所得」のうち、消費支出に充てられなかった残余の部分」を意味している。
経済用語でいうところの「貯蓄」の使途としては、・投資資本を増加させる為の物的資本=実物資本への)支出や、・金融資産Yahoo!百科事典も参照)の増加の為の支出、・金融負債を減少させる為の支出などに充てられる。
金融資産や金融負債が何かは、企業会計基準「金融商品に関する会計基準」(※6)で、定義されている。
資産と言う場合、その外形的な資産の分類として、金融資産と事業用資産があるが、日常用語として貯蓄と言う場合、金融資産の増加の場合にのみ使われているのが通例であり、さらに、当該金融資産でも、預・貯金や国債などの購入の場合には、貯蓄と言う(※預金には、リスクの発生することもある外貨預金も含まれている)が、金融資産である有価証券株式債券等)などリスク資産(高利回りが期待されるが元本割れの危険もある金融資産)購入の場合には、貯蓄とは表現せず、通常投資と言われることが多い。
又、金融負債には、住宅ローン、割賦購入、銀行の総合口座貸越・カードローン、いわゆるサラ金などの消費者金融の借入金の返済などがあるがこれを、日常用語として貯蓄ということはない。それに、個人でも、事業用資産として、土地・建物等へ投資し、これらの購入資産の利用(リース等)によって儲けることを期待する場合もあるのだが、そのような投資に対する支出であってもそれを貯蓄とは言わないだろう。このように、同じ貯蓄という言葉でも、経済用語の「貯蓄」は日常用語とは意味内容や定義が異なっていることには留意すべきだろう。
よく「日本人の個人金融資産は1400兆円」とか言われているのを聞いて、どう、思われているだろうか。
これは、日本銀行調査統計局が1954(昭和29)年分から作成している『資金循環統計』(※7の資金循環解説の中の資金循環統計の作成方法を参照)によるもので、『資金循環統計』はわが国における金融機関、法人、家計といった各部門の金融資産・負債の推移などを、預金や貸出といった金融商品毎に記録した統計であり、この統計の「家計金融資産」の数値が、よく言われるところの「日本人の個人金融資産」云々・・・の数値である。
2011(平成23)年12月末の家計の金融資産は1,483兆円ある事になっている。以下参照。

(A)日銀資金循環統計(2011年第4四半期速報):参考図表(Adobe PDF)参照。)。
(B)個人の金融資産 (日銀の資金循環統計速報 2011年12月末の状況)(Adobe PDF)

(B)は、金融資産の内容を円グラフにしたもので、内容が一目でわかるだろう。これで見ると、1位は、「現金・預金」が839兆円で、全体の56,5%を占めており、2位は「保険・年金準備金」となっており、これが420兆円28,3%、この2つで、84,8%とその殆どを占めており、日本人が安全性の高い「現金・貯金」中心にしており、リスクのある投資が少ないことがわかる。
しかし、実際には、金融資産のほかに、金融負債が357兆円あり、その差額は、1,126兆円と言うことになる。これを、日本の総世帯数46,782千(※4の ここ参照)で、計算すると、1世帯あたりのネットの金融資産は24百万ぐらいと言うことになる。それでも、多いな〜、いったい誰がそんなにお金を持っているのだろう?というのが、多くの人の実感ではないか。
実は、この家計の金融資産の中には、サラリーマンなどの勤労者だけではなく、個人事業主の事業性資金が含まれており、また「保険・年金準備金」には、企業年金(厚生年金基金、適格退職年金、確定拠出年金、確定給付企業年金<基金型企業年金・規約型企業年金>)、その他年金(国民年金基金等)の運用資産相当額等が含まれており、個人の資産という概念で見るわけにはゆかないのではないか。日銀の数字はあくまでマクロの統計なので、見方によっては、世界一の財政赤字を抱える日本の「国債の発行上限額」の一つの指標としては使えるだろうが・・・。
個人資産の実態に近いと思われる数値を示すデータもある。
2011(平成23)年3月31日公表の国勢調査などを基に調整した総務省・統計局による統計データ(※4)の「家計資産に関する結果」である。以下参照。

平成21年全国消費実態調査 家計資産に関する結果の要約 

このデーターによると、二人以上の世帯の平成21年11月末日現在の家計資産は、1世帯当たり3588万円となっている。
内訳をみると、宅地資産が1992万円で家計資産の55.5%を占め、そのほか金融資産(貯蓄1,473-負債526)が947万円、住宅資産が523万円、耐久消費財等資産が127万円となっている。
これを、5年前の国勢調査時2004(平成16)年と比べると、家計資産は6.2%の減少。内訳をみると,宅地資産が8.6%の減少、耐久消費財等資産が13.5%の減少、住宅資産が4.5%の減少、金融資産も0.4%の減少と全ての資産が減少している。
1世帯当たり3588万円の家計資産のうち勤労者所帯の資産額は2653万円で、金融資産(貯蓄1146ー負債661)は、486万円、住宅・宅地資産2039万円、耐久消費財資産129万円となっている。
そして、二人以上の世帯の家計資産額階級別の世帯分布をみると,1世帯当たり家計資産は平均値3588万円であるが、中央値は2284万円で平均以下の世帯が全体の約3分の2(66.2%)を占め,資産額の低い階級に偏った分布となっている。
又、世帯主の年齢階級別にみると、家計資産は70歳以上が最も多く(5024万円)、30歳未満(854万円)の5.9倍となっており、年齢階級が高い世帯ほど家計資産が多い。平成16年と比べると,家計資産は30歳未満を除く各年齢階級で減少している。また、単身世帯の1世帯当たりの家計資産は男性が1,861万円、女性が2,997万円。年齢階級別にみると、男女とも年齢階級が高い世帯ほど家計資産が多いというのは当然だろう。
この総務省・統計局による全国消費実態調査は、比較的実態を表していると思うが、富が中高年に集中し、若者の生活が厳しい状況が統計からも見て取れる。しかもこの富の世代間格差は年々広がってきている。このデーターでは、金融資産が何に投じられているかは判らないが、恐らく、日銀金融資産循環統計に見られるように、諸外国に比して、リスクのあるものへの投資よりも圧倒的に「現金・貯金」の割合が多いのが日本の特徴であろう。
1990年代まで、日本の個人金融資産残高は高い貯蓄率や利息により、着実に増加してきたが、高齢化の進行に伴う貯蓄率低下や超低金利の定着などによって、21世紀に入ってから日銀調べの金融資産残高(負債控除前)の伸びも大きく鈍化、ここ数年来は1400兆円台で推移している。
国の多額の財政赤字(公的債務残高。その大半が国債)を支えているのが個人金融資産だが、これが頭打ちの状態に来ているが、円高とデフレ不況の続く中、昨年の関東東北大震災(東日本大震災)の復興、原子力発電所停止の中、石油資源の高騰、近い将来、東海・東南海・南海連動型地震による大津波発生が予測されるなど、ますます、国の財政負担は重くなってゆくが、今後の個人資産での国債の消化も不透明になってきた。
それに、総務省・統計局による全国消費実態調査に見られるように、家計資産の大半が、流動性のない住宅や宅地資産で占められているが、この持ち家率の上昇に伴って、住宅ローンを抱える世帯が増えている。今の時代、勤労者世帯は、深刻化する雇用不安や金融不安などのさまざまな不安を抱えながら、所得の伸び悩みや低下に直面しているなかで、住宅ローンの負担が重くのしかかり、その大切な不動産価値も年々低下していることが、さらに個人資産の低下を招く要因となり、それが、小子化を勧め、消費性向をも低下させていくという悪循環になってきている。
小子高齢化の中、老後の年金問題や医療費がどうなるのか、その目途もつかない中、電気料金アップや消費税の大幅アップなどによる支出増が目の前にちらついている。これからの長い一生を悔いのないように過ごすためには、所有する個人資産を有効に運用・活用し、それなりの貯蓄を増やしておかなければ仕方がないだろう。
資産運用法にはいくつかあるが、結局その方法は、ライフプランの基本設計の中で、きっちりと立てておかなければいけない。
元本は保障するが、リターンの少ないもの」(ローリスクローリターン)の「貯蓄型資産運用」と、「元本を保証しないが、リターンの大きいもの」(ハイリスクハイリターン)の「投資型資産運用」をどのようにどのように、選択するかと言うことになる。
ただ、昨・2011(平成23)年に巨額の損失隠しが発覚したオリンパス(オリンパス事件参照)、今年に入って、個人投資家約700人からの預かり金計3億円超のうち、約2億円を会社の運転資金に不正に流用するといった丸大証券(※8)、委託されていた企業年金およそ2,000億円の大半が焼失していたというAIJ投資顧問など不祥事が絶えず、海外勢も日本株に慎重になりつつある。
このような独立系の投資顧問会社に委託した年金問題は、他にも大きな損失を出して入りところが多くありそうで、この事件は、確定給付年金の持つリスクを改めて認識させるひとつのきっかけになるだろう。
資産運用において、投資による資産拡大を目指すか、上手に家計を節約し、余分な支出を減らして、地道に資産を拡大する方法が賢明かは、それぞれの状況に応じて考えればよいことだが、これからの増税、その他の支出増を考えると、日本の今の低金利の中では、安全な資産「現金・預金」などだけでは目減りするかもしれない。金融危機の影響で安全を考えると、資産の拡大よりも、先ず、銀行預金などより高い利率で借りている借金等を返済するなど負債を減らすことが金融の素人の私たちにとっては、一番かも知れない。
ただ、経済学的には、負債を減少させることや、貯蓄を増やす努力は購買力を将来へ移転するという行為ではあるが、マクロ的には、貯蓄を増大させるということはその時点で考えれば,財の消費を減らすということであるから、有効需要(有効需要の原理参照)を減らし、所得や雇用を減少させていく可能性に繋がる。経済を発展させてゆくためには、貯蓄する人々が、同時に将来の消費を増やすためにも、投資を行うということをしないと起こることなのだが・・・。なかなか難しい問題だよな〜。

(冒頭の画像は、兵庫県神戸市中央区(廃止当時は生田区)、の旧居留地にかつて存在した

Viewing all articles
Browse latest Browse all 292

Trending Articles