上掲の画像:アフリカにおけるFGMの分布と比率(Wikipediaより)
いつもこのブログを書くのに参考にさせてもらっている「今日は何の日〜毎日が記念日〜」(※1)に、今日(2月6日)の記念日として「世界女性器切除根絶の日(International Day of Zero Tolerance to Female Genital Mutilation)」があった。
そこには、「国連の国際デーの一つ。アフリカを中心に行われている女性器切除について広く世界の人々に認識させ、その撲滅を促進するための日。
2003年にナイジェリアの大統領夫人であるステラ・オバサンジョの提案で始められ、国連人権委員会で国際的な啓発デーとすることが採択された。”・・・と記載されている。
それにしても、国連の国際デーには、凄い名前の記念日があるものだと驚き、少し調べてこのブログを書いてみようと思った。
この件に関しては、2012年12月1日付け朝日新聞デジタル(※2)には、以下のように記されていた。
「アフリカや中東の一部で続く「女性性器切除」(FGM)について、国連加盟国に禁止の法制化を強く求める決議案が12月、国連総会で採択されることになった。法的拘束力はないが、「文化や伝統に根ざした慣習」としてFGMを続ける地域に対し、国際社会が根絶を後押しするものだ。
決議案では、FGMを「女性に元に戻すことができない傷を負わせる虐待」と非難。全世界で1億〜1億4千万人がFGMの傷を負わされ、今も毎年推定300万人以上が犠牲になっていると警告し、根絶に向けた啓発教育に取り組むよう求めている。」・・・と。
それでは国連でどのような決議がされ、国際デー(記念日)となったのか?
国連広報センターの国際デー/国際年のページ(※3)で、記念日と記念週間(国際デー、週間)を見てみるが、「世界女性器切除根絶の日」と名のつく記念日・記念週間は見られなかった。
しかし、同ページの中にある”毎日の動き”の中に、2012年12月27日、「国連総会、女性性器切除根絶求める」として以下のように書いてある。
「国連総会はこのたび、各国に対し、女性性器切除の根絶を求めた。
潘基文事務総長は声明を発し、この決議が女性に対する暴力がない世界に向けた重要な一歩であるとして、歓迎を表明した。」…とあった。
同ページには国連事務総長の”決議・声明・報告書”も掲載されているので、そこに、どのような声明文が記載されているのかと、見てみたのだが、その中には、“女性に対する暴力撤廃の国際デー(11月25日)”や、“人権デー(12月10日)” “国際移住者デー(12月18日)”等についての事務総長メッセージ(声明文)はあるが、「各国に対し、女性性器切除の根絶を求める」といった内容の声明文は見当たらなかった。
ここに書かれている内容だけから解釈すると、「国連総会がこのたび、各国に対し、女性性器切除の根絶を求めた」・・・ことに対して、国連の事務総長としては、単に「暴力がない世界に向けた重要な一歩である」・・・として、「歓迎を表明した」だけということなのだろうか?
日本ユニセフ協会の公式サイトの“協会からのお知らせ”の【2009年2月5日】、【2011年1月13日】にも書かれているように、
女性性器切除(female genital mutilation/cutting、略称FGM/C)とは、朝日新聞デジタルでも書かれていたように、アフリカをはじめアジアや中東など世界各国において長年にわたり行われてきた女子や女性の性器の一部もしくは全部を切除してしまう慣習であるが、その慣習により、健康面で長期的な影響を及ぼすのみならず、心にも深い傷を負わせるFGM/Cは、毎年、世界中で300万人もの女の子や女性が犠牲になっているという。
そのため、FGMをはじめ、女性や子どもの健康に影響を与える様々な慣習に起因する問題に取り組むNGO(非政府組織)、インター・アフリカン・コミッティー(IAC★1参照) が、FGMの根絶に向けた国際社会と市民の連携を構築するため、2003年、エチオピアの首都アディスアベバで、「FGM根絶」世界会議を開催した。
ユニセフをはじめとする国際機関やNGO、各国政府代表や議員、学識経験者、世界の宗教指導者、若者の代表に加え、女性性器切除を処術していた人々などが参加したこの会議で、毎年2月6日を「世界FGM(女性性器切除)根絶の日」とすることを宣言した。・・とある。
そして、2008年2月27日には、10の国連機関(★2参照)が、FGM/C根絶に取り組む姿勢を示した声明を発表し、ミレニアム開発目標で目標達成期限とされている2015年までに、多くの国でこの慣習が大幅に減少し、約30年以内に廃止されるよう、各国政府や地域社会、女性と少女に対して支援を行うことを約束している・・・と、いうことである。
2008年に世界保健機関(WHO)が発行した『女性性器切除の廃絶を求める国連10機関共同声明』日本語版(※4参照)を、FGM廃絶を支援する女たちの会(=WAAF。同HPは※5参照)が発行している。本書では、新しいデータを基に様々な角度からFGM/Cについて分析し、その廃絶を訴えているというので、詳しいことはそれを見られるとよい。
世界FGM/C(女性性器切除)根絶の日(ゼロ・トレランス・デー)」で取り上げられている女性性器切除(Female Genital Mutilation、略称FGM)は、女性外性器の一部あるいは全部の切除、時には切除してから外性器を縫合してしまう慣習のことであり、これは、アフリカを中心に様々な民族の伝統的な通過儀礼として、2000年以上も続いていると言われている。
FGM廃絶を支援する女達の会HP(※5)によれば、この女性性器切除は、以前は「女子割礼」と呼ばれていたが、NGO『インター・アフリカン・コミッティ(IAC)』が1990年に開いた総会において、アフリカの女性たちがこれを「女子割礼ではなく女性性器切除(FGM)という言葉を使う」ことに決めたようである。
「女子割礼」では男子割礼(Female Circumcision)と同一視され、FGMの実態や女性の心身に与える被害を見え難くするから・・・・、というのがその理由であるという。
そして、切除者の多くは、伝統的助産婦といわれる女性や「割礼師」と呼ばれる人々であり、大抵の場合は、麻酔なしで、ガラスの破片、かみそりの刃、ナイフ、缶詰の蓋、鋭利な石、アカシアのトゲなどを使って少女の性器を切り取り、時にはカラタチのトゲなどで大陰唇を縫い合わせるのだという。止血や傷を癒すために、植物樹脂、灰、植物の溶液、ハーブなどを混ぜ合わせたものが使われることもあるそうだ。
このように、FGMの施術は、一般的に剃刀や鋭い石などを使い、麻酔も薬も用いず行なわれるため、激しい痛みや出血によるショック、感染症で死に至ることやHIV/エイズ感染の危険もあるほか、後遺症も深刻であり、尿道の閉鎖、慢性の感染症、貧血、腎障害、月経困難症、失禁、傷跡(ケロイド)による難産、膣狭窄(さく)及び陰唇裂傷、瘻孔(ろうこう)(膣と膀胱、膣と直腸の間に穴が開いてつながってしまう疾病)、性交時の激痛、性行為への恐怖、欝症状など女性の身体と人生に大きな影響を与えている・・という。・・・何ともぞっとする話だ。
しかし、、本来は、国や人種の宗教・文化・伝統など慣習に基づく行為に対しては、国連が介入すべきことではないかもしれないが、この慣習が女性にとっては虐待に近いものであり、女性と少女の基本的人権を侵しているだけでなく、彼女たちの健康を著しく損なうものでもあるとすれば、国連としても各国に有害な伝統的慣習であるFGM の廃絶のための措置を講ずるよう要請せざるをえないだろう。
しかし、当事国にとっては、長い歴史の中に根付いていた慣習を廃絶することへの抵抗も当初は強かったであろうことは推測される。
21世紀に入ってからも、10年以上経つて、ようやく、このような慣習の廃絶を「国連総会で採択」という段階となったのも、そのような理由があったからだろう
最近では、女性性器切除が行われている多くの国では、その行為を違法とする法律が既に制定されており。加えて、女性性器切除の身体的・精神的なリスクへの認識も高まっていることを反映し、その行為に反対する者も増加しているようだ。加えて、女性性器切除の身体的・精神的なリスクへの認識が高まっていることを反映し、その行為に反対する者も増加しているという。
しかし、最近の傾向として、そんなリスクへの認識が高まっていることと、医療サービスが以前より普及したことから、女性性器切除のリスクを最小限にくいとどめるべく、整った診療体制の中で医療の専門家に切除を依頼する親が増加しているという。さらに、成長すると女性性器切除を受けることを拒む可能性があるため、まだ幼いうちに受けさせるという若年齢化に対しても警告が発せられているようだ(※7)。
Wikipediaでは、現在では、アフリカの28カ国で、主に生後1週間から初潮前の少女に行われている。また、アフリカの人口増加に伴い、以前より多くの少女達が性器切除を施されている。・・・と、記されている。
そして、欧米においては、この慣習の存在する地域から移民した人々の間においてもFGMが広く行われていることが昨今の調査で明らかになり、それに対して法的な規制を制定する国も増えてきているという。
以下参考の※8:「FGM(女性性器損傷)とジェンダーに基づく迫害概念をめぐる諸課題」では、“第2 章 FGMとは何か”のところで、このFGM問題が、今問題となっているトランスナショナル (国境を越えた)な人口移動が拡大傾向にある中での、女性移民の増大(移民の女性化)や、難民女性の増加とFGM・ジェンダーとのかかわりなども触れたうえで、FGMが民族的・歴史的背景も考えると単純に虐待行為としてのみ片付けられない面があるなどこの問題の解決の難しを深く考察されている。書けば長くなるので、興味のある人は一読されるとよい。
この「女性器切除」のあらましはWikipedia(※6)を読めば分かるので、そこを詠まれるとよい。いろいろ、微妙な問題があるのでこれ以上書くのはやめておく。
ただ、気になったことを一つだけ追加しておこう。
冒頭の「世界女性器切除根絶の日」の説明の中で、「2003年にナイジェリアの大統領夫人であるステラ・オバサンジョの提案で始められ、国連人権委員会で国際的な啓発デーとすることが採択された。・・と書いたが、当時のナイジェリアの大統領はオルシェグン・オバサンジョであり、オグン州アベオクタ生まれ。ヨルバ族出身のキリスト教徒で、彼は10回以上の来日歴を有する親日家だそうである。
上掲の画像:オルシェグン・オバサンジョ元大統領(Wikipediaより)
ステラ・オバサンジョは、その後妻である。
以下参考に記載の※9:「NAIJA NEWSナイジャ(ナイジェリア)ニュース」のステラ・オバサンジョ☆死因は?・・に以下のようなことが書かれている。
“スペインの病院でナイジェリアのファーストレディ、ステラ・オバサンジョが外科手術中に死亡。
死因に関する検死報告書が提出され、外科手術を行なった医師ラモン・ロイへ医学博士の写真も含まれているという。博士はMolding Clinicの所長。報告書はまだ公表されていない“(2005/10/26)・・・と。
しかし、その後も、ステラの葬式のことや、埋葬先のことは書かれているが、ステラが何の外科手術をしていて、何故、死んだのかは何も書かれておらず謎のままである。
夫のオルシェグン・オバサンジョはオグン州のアベオクタ生まれで、ヨルバ族の出身らしいが、この、ヨルバ族について、以下参考の※10:「オンド州の州議会 - ナイジェリアの生活日記」には、以下のように書かれている。
オンド州はジェンダーセンシティブ【gender sensitive】な州で、
○ナイジェリアで初めて、女子差別撤廃条約(CEDAW)の国内法適用のための州法をパスさせた。
○子供の権利条約もパスさせた(女子教育の必要とか書いてある)
○女性の政治参加がかなり進んでいる。
オンド州はナイジェリア3大民族の一つ、ヨルバ族が主流。FGMは北部ではほとんどないのだけど、ヨルバ族に限っては60%近くが実施している。・・と。
ステラが何族の出身か知らないが、オルシェグンが西アフリカ最大の民族集団のひとつであるヨルバ族とすれば、ステラも女性器切除をしていた可能性が大きいのではないか?そうすれば、2003年に女性器切除根絶の啓発デーが採択されると、自身の性器を元に戻すための外科的な治療が行われたのではないか・・・?そして、それが失敗に終わり死亡に至った・・・。また、そこには、女性器切除根絶に反対する一派も絡んでいた・・・なんて考えるのは、考えすぎだろうか。どうも、推理小説大好き人間の好奇心を掻き立てる出来事ではある。
先日アルジェリアでのアルカイダ系の武装勢力による人質拘束事件(ここ参照)が起こり、事件に巻き込まれた日本人10人の死亡が確認されたことから、日本人の中東地域への関心も深まったかと思うが、ナイジェリアはこのアルジェリアに隣接(北側)している国・ニジェール( Niger)に隣接(北西側)している国である。
ナイジェリア(. Nigeria)の国名の由来は、国内を流れるよりつけられたもの。ニジェール川の語源は、遊牧民トゥアレグ族により、この川がニエジーレン (n'egiren) 「川」、またはエジーレン (egiren) 「川」と呼ばれ、これがフランス人に伝えられ、ラテン語で「黒」を意味するニジェール (niger) と転訛した。つまり隣国の「ニジェール」( Niger)と同じ意味で、本来は同じ地域を指しているが旧宗主国を異にする両地域が別々に独立した際に、現在のように別の国を指すこととなったものである。
このナイジェリアでも、昨・2012年2月北東部の市場で無差別攻撃(※11)で30人が死亡するなど、ここ数年、主にイスラム教徒が多い北部で、ボコ・ハラムによる銃撃事件や爆弾攻撃。・・といったテロ事件が相次いで起こっている。
イスラム過激派のボコ・ハラムとは、「西洋式の非イスラム教育」「西洋の教育は罪」といった意味Dらしく、従ってそのような西欧に対する敵意が、ナイジェリアのキリスト教徒の殺害や教会の破壊につながっているのだろう。
ナイジェリアはアフリカ最大の人口をかかえる国家で、人口は1億5千8百万人以上と世界第7位の大国であるが、約250の部族、民族が住んでおり、部族間、民族間の争いが絶えず、少数民族や少数部族が、不平等な扱いを受けているようだ。
主に北部ではイスラーム教が、南部ではキリスト教が信仰され、その他土着のアニミズム宗教も勢力を保っている。その構成は、イスラム教が約半数を占め、キリスト教が4割ほど、土地固有の伝統宗教が1割くらいの割合となっているようだ。
17世紀から19世紀までは、奴隷貿易の拠点となり、アメリカ大陸へ大勢の奴隷が売られていった。この奴隷貿易の拠点売買となったことに伴い植民地化され、イギリスの植民地となった。第二次大戦後独立はするが、今に至るまで紛争は絶えない。
「じゃぁ、アフリカに民主主義を導入すればいい」という単純なものではない。
第二次世界大戦前からあった独立への動きは、同大戦後になると他のアフリカ諸国と同様に、民主主義運動が高まり、1960年夫々が自治権を有する北部州、西部州及び東部州の3地域の連邦制国家として完全独立を果たした。
独立時は、イギリス女王を国家元首として頂く英連邦王国であったが、1963年に連邦共和国憲法を制定し、大統領制に移行した。それと同時に、西部州から中西部州を分割し、全4地域になる。
しかしながら、英国からの独立以降、地域間の対立が激化するとともに、選挙の不正に始まる政治の腐敗も深刻になり、第一共和制は混乱に陥って行った。
そして、それ以降、ナイジェリアの歴史の大部分は軍事支配一色となった。
始まりは 1966 年の第 1 回軍事クーデターで、複数の将軍とその支持者は国内に燻(くす)ぶる 250 の民族集団及び宗教コミュニティ間の緊張を制御できるのは自分たちだけだと豪語。その当時、北部はムスリム(「神に帰依する者」を意味するアラビア語で、イスラム教徒のこと)が多数派を占め、南部はキリスト教徒が多数派を占めていた。
このクーデターで北部人による東部のイボ人の迫害と虐殺が激化し、ナイジェリア内戦の契機となった。
民族間及び地域間の緊張によって分離独立運動が活発化し、1967 年、イボ族の ビアフラ共和国建国をきっかけに、3 年間に及ぶ血みどろの内戦(ビアフラ戦争)に突入し、壊滅的な飢餓状態が発生した。1970年にイボ族の敗北で内戦が終結。
1975年、軍の民政移行派(オルシェグン・オバサンジョ、ムルタラ・ムハンマド将軍らを含む)によるクーデターが成功し、前政権は打倒され、ムハメド将軍が最高軍事評議会の議長として執政に当った。彼の政策は民衆の支持を受け、彼の決断は伝説上の英雄に祭り上げられたようだが、彼が偽善的で汚職は続けられたとの批判もあるようだ。
1976年2月、ブカ・スカ・ディムカ中佐(後に処刑)を中心としたクーデター(未遂)で、ムハンマドは暗殺され、オバサンジョも殺害対象とされたが、これを鎮圧したオバサンジョが、最高軍事評議会議長・国家元首・国軍最高司令官を兼ねて最高指導者となり、彼による第一次軍政(1976年2月13日〜1979年10月1日)。が行われた。
その後も、1990年代末迄の間、多民族国家であるが故に生じる利害関係の縺(もつ)れ、それに加え貧困や汚職の蔓延に対する国民の不満の鬱積を背景に、長期に亙って政治と社会の両面で不安定な時期が続いた。
現在のナイジェリアが出現したのは、数年間にわたるイブラヒム・ババンギダ 将軍下の軍事支配を経て、大統領選挙が行われた 1993 年である。
南部出身のヨルバ人のイスラム教徒モシュード・アビオラが勝利すると見られたが、選挙結果は軍によって無効にされた。1993年11月、1980年代の2回のクーデターにもかかわったとみられるサニ・アバチャ将軍が実権を掌握した。
新憲法が制定され、民政へ移行したのは1999年のことだ。かつてのクーデター軍人オルシェグン・オバサンジョが、初の民主的選挙で、大統領に当選。
2003年の選挙でも再選した。しかし彼は民主派の希望でもあった司法長官ボラ・イゲが2001年に暗殺された件にかかわったといわれるほか、ナイジェリアの汚職と腐敗が彼の時代になって最悪になったといわれ、国民の感情は好悪半ばしている。オバサンジョは腐敗政治家を次々逮捕しているが依然政府の腐敗は深刻で、多くの頭脳流出を招いているという。
その後、2007年の選挙では敗れているが、この選挙を含め、その後の選挙でも、民族問題も絡んだ何かどろどろとした選挙戦が行われている。
そして、以下参考の※12:「英国内務省報告:出身国情報報告書 ナイジェリア」での人権についての記載を見ると、
2009年2月25日に公表された米国務省の人権実践に関する国別報告 、2008 ナイジェリア編 (USSD 2008)によれば、「ナイジェリア政府の人権記録は依然として劣悪であり、政府高官の重大な侵害行為は引き続きあらゆるレベルで確認されたという。そして、以下のように書かれている。
「最も重大な人権問題として、政権交代に対する国民の権利剥奪、治安部隊による超法規的所り、治安部隊による致命的及び過度の武力行使、自警団の民間人殺人、治安部隊の虐待行為に対する免責特権、受刑者、被拘禁者及び犯罪被疑者に対する拷問、強姦その他の形態の残忍で非人道的かつ品位を傷つける扱い、苛酷かつ生命を脅かす刑務所及び拘禁施設の現状、未決拘禁の延長を伴う恣意的逮捕、行政府が司法府及び司法の腐敗に与える影響、プライバシーの権利侵害、言論、報道、集会、信教及び移動の自由に対する規制措置、女性に対する家庭内暴力と差別、女性の性器割礼 (FGM)、児童の性的搾取を含む児童虐待、社会的暴力、民族、地域及び宗教的差別、売春及び強制労働目的の人身売買、並びに児童就労などが挙げられた。」・・・と。そして、これらについて詳細な事例が挙げている。
勿論、女性や、子供への暴力の中で、今日のテーマーである「女性器切除(FGM)」のことも詳しく書かれている。
24. 女性 概観 では、以下のように記載れている。
“2009年1月に公表された 2008年の出来事を扱う Freedom House 報告書 2009ナイジェリア編が述べたところによれば
「ここ数年で教育の機会を阻む壁は低くなってきたが、ナイジェリアの女性は現在も社会差別を受けている。一部の民族集団では、女性は財産の平等な相続権を与えられず、配偶者による強姦は犯罪とみなされない。正確な事例は周知でないが、女性器切除(FGM)を受けている女性は多い。 連邦政府は FGM に公然と反対するものの、この慣行を禁止する措置は講じなかった。
シャリア法(イスラム教における宗教に基づく法体系)を準拠法とする北部州では、女性の権利の深刻な後退が見られた。労働力及び売春目的の国内外の人身売買の増大が報告されている。政府は 2004 年に人身売買を非合法化し、加害者を罰する公的機関を設立したが、既存の規定は不十分である。UNICEF によれば、現在ナイジェリアの児童就労者は 1500 万人に上り、このうち 40%が人身売買の危険に瀕しているということである。
一部の組織の報告では、妊娠した 10 代の少女に堕胎を約束する違法な取引があり、出産まで拘束してその後平均 350,000 ナイ(2,400 米ドル)で売られるということである。」・・・と。
ま〜、FGMどころか、いまだに、子女を所有物として人身売買までされているのには驚かされるが、「ナイジェリアでは制定法、イスラム法及び慣習法の下に女性に対する暴力が容認されており、かかる行為を支持する規定も記載されている」・・・というのだから、表面的には法整備もされているように見えても、抜け道があり、非合法なことがされていても見て見ぬふりでは助からないよね〜。。・・・こんな国情を見ていると、大統領夫人のステラ・オバサンジョが外科手術で死んだ・・。しかし、その死因は発表されない・・・などというニュースを見て、私が、その死因に懐疑の念をもってもそうおかしくもない・・・とは思いませんか・・・・。
いずれにしても、平和な日本に住んでいることに感謝したい。
「英国内務省報告:出身国情報報告書 ナイジェリア」のこの章は別紙となっているので、以下参考の※13:「女性同性愛者、男性同性愛者、両性愛者及び性同一性障害者」を参照されるとよい。
用語説明
★1:IAC:The Inter-African Committee on Traditional Practices affecting the health of Women and Children(女性と子どもの健康に影響を与える慣習に取り組むアフリカ委員会)1984 設立。28カ国のNGOが参加()。
★2:女性性器切除の廃絶を求める国連10機関 (共同声明に参加した国連機関)は、国連エイズ合同計画(UNAIDS)、国連開発計画(UNDP)、国連アフリカ経済委員会(UNECA)、ユネスコ(UNESCO)、国連人口基金(UNFPA)、国連人権高等弁務官事務所(UNHCHR)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、ユニセフ(UNICEF)、国連婦人開発基金(UNIFEM)、世界保健機関(WHO)である。
参考:
※1:今日は何の日〜毎日が記念日〜
http://www.nnh.to/
※2:朝日新聞デジタル:女性器切除、禁止法制化求める 国連総会で決議案
http://www.asahi.com/international/update/1128/TKY201211280891.html
※3:国連広報センター|国際デー/国際年
http://unic.or.jp/unic/schedule;
※4:女性性器切除の廃絶を求める国連10機関共同声明(Adobe PDF)
http://www.jca.apc.org/~waaf/pages/activity/newsletter/10-Agency%204pages.pdf#search='%E5%A5%B3%E6%80%A7%E6%80%A7%E5%99%A8%E5%88%87%E9%99%A4%E3%81%AE%E5%BB%83%E7%B5%B6%E3%82%92%E6%B1%82%E3%82%81%E3%82%8B%E5%9B%BD%E9%80%A310%E6%A9%9F%E9%96%A2%E5%85%B1%E5%90%8C%E5%A3%B0%E6%98%8E'
※5:FGM廃絶を支援する女達の会
http://www.jca.apc.org/~waaf/pages/FGM/FGM.html
※6:女性器切除 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A5%B3%E6%80%A7%E5%99%A8%E5%88%87%E9%99%A4
※7:UNFPA国連人口基金東京事務所プレスリリース2007年2月
http://www.unfpa.or.jp/news/press.php?eid=00096#h2-1
※8:FGM(女性性器損傷)とジェンダーに基づく迫害概念をめぐる諸課題
http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/2065/34771/3/Honbun-5356.pdf#search='FGM%2FC%E3%81%B8%E3%81%AE%E4%B8%8D%E5%AF%9B%E5%AE%B9%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E3%83%87%E3%83%BC'
※9:NAIJA NEWSナイジャ(ナイジェリア)ニュース
http://plaza.rakuten.co.jp/bigafrika/backnumber/200510/
※10:オンド州の州議会 - ナイジェリアの生活日記
http://blogs.yahoo.co.jp/gidanaisha/60743923.html
※11:ナイジェリア北東部の市場で無差別攻撃、30人死亡か 目撃者証言(2012年02月21日 10:45 発信地:カノ/ナイジェリア)
http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2859490/8514681
※12:英国内務省報告:出身国情報報告書 ナイジェリア(Adobe PDF)
http://www.moj.go.jp/content/000056494.pdf#search='%E3%83%A8%E3%83%AB%E3%83%90%E4%BA%BA+%EF%BC%A6%EF%BC%A7%EF%BC%AD'
※13: 女性同性愛者、男性同性愛者、両性愛者及び性同一性障害者
http://www.moj.go.jp/content/000056496.pdf#search='%E5%85%90%E7%AB%A5%E3%80%81%E5%A5%B3%E6%80%A7%E5%99%A8%E5%88%87%E9%99%A4+%E5%90%84%E9%A0%85%E5%8F%8A%E3%81%B3%E5%86%85%E5%8B%99%E7%9C%81%E5%9B%BD%E5%A2%83%E5%B1%80%E3%81%AEFGM%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8'
女性性器切除の廃絶を求める国連10機関共同声明-日本ユニセフ協会
http://www.unicef.or.jp/osirase/back2011/1101_05.htm
女性移民労働 - 関東社会学会
http://kantohsociologicalsociety.jp/congress/53/points_section10.html
アムネスティ日本: 世界人権宣言ってなんだろう?
http://www.amnesty.or.jp/human-rights/music-and-art/passport/universal_declaration.html
いつもこのブログを書くのに参考にさせてもらっている「今日は何の日〜毎日が記念日〜」(※1)に、今日(2月6日)の記念日として「世界女性器切除根絶の日(International Day of Zero Tolerance to Female Genital Mutilation)」があった。
そこには、「国連の国際デーの一つ。アフリカを中心に行われている女性器切除について広く世界の人々に認識させ、その撲滅を促進するための日。
2003年にナイジェリアの大統領夫人であるステラ・オバサンジョの提案で始められ、国連人権委員会で国際的な啓発デーとすることが採択された。”・・・と記載されている。
それにしても、国連の国際デーには、凄い名前の記念日があるものだと驚き、少し調べてこのブログを書いてみようと思った。
この件に関しては、2012年12月1日付け朝日新聞デジタル(※2)には、以下のように記されていた。
「アフリカや中東の一部で続く「女性性器切除」(FGM)について、国連加盟国に禁止の法制化を強く求める決議案が12月、国連総会で採択されることになった。法的拘束力はないが、「文化や伝統に根ざした慣習」としてFGMを続ける地域に対し、国際社会が根絶を後押しするものだ。
決議案では、FGMを「女性に元に戻すことができない傷を負わせる虐待」と非難。全世界で1億〜1億4千万人がFGMの傷を負わされ、今も毎年推定300万人以上が犠牲になっていると警告し、根絶に向けた啓発教育に取り組むよう求めている。」・・・と。
それでは国連でどのような決議がされ、国際デー(記念日)となったのか?
国連広報センターの国際デー/国際年のページ(※3)で、記念日と記念週間(国際デー、週間)を見てみるが、「世界女性器切除根絶の日」と名のつく記念日・記念週間は見られなかった。
しかし、同ページの中にある”毎日の動き”の中に、2012年12月27日、「国連総会、女性性器切除根絶求める」として以下のように書いてある。
「国連総会はこのたび、各国に対し、女性性器切除の根絶を求めた。
潘基文事務総長は声明を発し、この決議が女性に対する暴力がない世界に向けた重要な一歩であるとして、歓迎を表明した。」…とあった。
同ページには国連事務総長の”決議・声明・報告書”も掲載されているので、そこに、どのような声明文が記載されているのかと、見てみたのだが、その中には、“女性に対する暴力撤廃の国際デー(11月25日)”や、“人権デー(12月10日)” “国際移住者デー(12月18日)”等についての事務総長メッセージ(声明文)はあるが、「各国に対し、女性性器切除の根絶を求める」といった内容の声明文は見当たらなかった。
ここに書かれている内容だけから解釈すると、「国連総会がこのたび、各国に対し、女性性器切除の根絶を求めた」・・・ことに対して、国連の事務総長としては、単に「暴力がない世界に向けた重要な一歩である」・・・として、「歓迎を表明した」だけということなのだろうか?
日本ユニセフ協会の公式サイトの“協会からのお知らせ”の【2009年2月5日】、【2011年1月13日】にも書かれているように、
女性性器切除(female genital mutilation/cutting、略称FGM/C)とは、朝日新聞デジタルでも書かれていたように、アフリカをはじめアジアや中東など世界各国において長年にわたり行われてきた女子や女性の性器の一部もしくは全部を切除してしまう慣習であるが、その慣習により、健康面で長期的な影響を及ぼすのみならず、心にも深い傷を負わせるFGM/Cは、毎年、世界中で300万人もの女の子や女性が犠牲になっているという。
そのため、FGMをはじめ、女性や子どもの健康に影響を与える様々な慣習に起因する問題に取り組むNGO(非政府組織)、インター・アフリカン・コミッティー(IAC★1参照) が、FGMの根絶に向けた国際社会と市民の連携を構築するため、2003年、エチオピアの首都アディスアベバで、「FGM根絶」世界会議を開催した。
ユニセフをはじめとする国際機関やNGO、各国政府代表や議員、学識経験者、世界の宗教指導者、若者の代表に加え、女性性器切除を処術していた人々などが参加したこの会議で、毎年2月6日を「世界FGM(女性性器切除)根絶の日」とすることを宣言した。・・とある。
そして、2008年2月27日には、10の国連機関(★2参照)が、FGM/C根絶に取り組む姿勢を示した声明を発表し、ミレニアム開発目標で目標達成期限とされている2015年までに、多くの国でこの慣習が大幅に減少し、約30年以内に廃止されるよう、各国政府や地域社会、女性と少女に対して支援を行うことを約束している・・・と、いうことである。
2008年に世界保健機関(WHO)が発行した『女性性器切除の廃絶を求める国連10機関共同声明』日本語版(※4参照)を、FGM廃絶を支援する女たちの会(=WAAF。同HPは※5参照)が発行している。本書では、新しいデータを基に様々な角度からFGM/Cについて分析し、その廃絶を訴えているというので、詳しいことはそれを見られるとよい。
世界FGM/C(女性性器切除)根絶の日(ゼロ・トレランス・デー)」で取り上げられている女性性器切除(Female Genital Mutilation、略称FGM)は、女性外性器の一部あるいは全部の切除、時には切除してから外性器を縫合してしまう慣習のことであり、これは、アフリカを中心に様々な民族の伝統的な通過儀礼として、2000年以上も続いていると言われている。
FGM廃絶を支援する女達の会HP(※5)によれば、この女性性器切除は、以前は「女子割礼」と呼ばれていたが、NGO『インター・アフリカン・コミッティ(IAC)』が1990年に開いた総会において、アフリカの女性たちがこれを「女子割礼ではなく女性性器切除(FGM)という言葉を使う」ことに決めたようである。
「女子割礼」では男子割礼(Female Circumcision)と同一視され、FGMの実態や女性の心身に与える被害を見え難くするから・・・・、というのがその理由であるという。
そして、切除者の多くは、伝統的助産婦といわれる女性や「割礼師」と呼ばれる人々であり、大抵の場合は、麻酔なしで、ガラスの破片、かみそりの刃、ナイフ、缶詰の蓋、鋭利な石、アカシアのトゲなどを使って少女の性器を切り取り、時にはカラタチのトゲなどで大陰唇を縫い合わせるのだという。止血や傷を癒すために、植物樹脂、灰、植物の溶液、ハーブなどを混ぜ合わせたものが使われることもあるそうだ。
このように、FGMの施術は、一般的に剃刀や鋭い石などを使い、麻酔も薬も用いず行なわれるため、激しい痛みや出血によるショック、感染症で死に至ることやHIV/エイズ感染の危険もあるほか、後遺症も深刻であり、尿道の閉鎖、慢性の感染症、貧血、腎障害、月経困難症、失禁、傷跡(ケロイド)による難産、膣狭窄(さく)及び陰唇裂傷、瘻孔(ろうこう)(膣と膀胱、膣と直腸の間に穴が開いてつながってしまう疾病)、性交時の激痛、性行為への恐怖、欝症状など女性の身体と人生に大きな影響を与えている・・という。・・・何ともぞっとする話だ。
しかし、、本来は、国や人種の宗教・文化・伝統など慣習に基づく行為に対しては、国連が介入すべきことではないかもしれないが、この慣習が女性にとっては虐待に近いものであり、女性と少女の基本的人権を侵しているだけでなく、彼女たちの健康を著しく損なうものでもあるとすれば、国連としても各国に有害な伝統的慣習であるFGM の廃絶のための措置を講ずるよう要請せざるをえないだろう。
しかし、当事国にとっては、長い歴史の中に根付いていた慣習を廃絶することへの抵抗も当初は強かったであろうことは推測される。
21世紀に入ってからも、10年以上経つて、ようやく、このような慣習の廃絶を「国連総会で採択」という段階となったのも、そのような理由があったからだろう
最近では、女性性器切除が行われている多くの国では、その行為を違法とする法律が既に制定されており。加えて、女性性器切除の身体的・精神的なリスクへの認識も高まっていることを反映し、その行為に反対する者も増加しているようだ。加えて、女性性器切除の身体的・精神的なリスクへの認識が高まっていることを反映し、その行為に反対する者も増加しているという。
しかし、最近の傾向として、そんなリスクへの認識が高まっていることと、医療サービスが以前より普及したことから、女性性器切除のリスクを最小限にくいとどめるべく、整った診療体制の中で医療の専門家に切除を依頼する親が増加しているという。さらに、成長すると女性性器切除を受けることを拒む可能性があるため、まだ幼いうちに受けさせるという若年齢化に対しても警告が発せられているようだ(※7)。
Wikipediaでは、現在では、アフリカの28カ国で、主に生後1週間から初潮前の少女に行われている。また、アフリカの人口増加に伴い、以前より多くの少女達が性器切除を施されている。・・・と、記されている。
そして、欧米においては、この慣習の存在する地域から移民した人々の間においてもFGMが広く行われていることが昨今の調査で明らかになり、それに対して法的な規制を制定する国も増えてきているという。
以下参考の※8:「FGM(女性性器損傷)とジェンダーに基づく迫害概念をめぐる諸課題」では、“第2 章 FGMとは何か”のところで、このFGM問題が、今問題となっているトランスナショナル (国境を越えた)な人口移動が拡大傾向にある中での、女性移民の増大(移民の女性化)や、難民女性の増加とFGM・ジェンダーとのかかわりなども触れたうえで、FGMが民族的・歴史的背景も考えると単純に虐待行為としてのみ片付けられない面があるなどこの問題の解決の難しを深く考察されている。書けば長くなるので、興味のある人は一読されるとよい。
この「女性器切除」のあらましはWikipedia(※6)を読めば分かるので、そこを詠まれるとよい。いろいろ、微妙な問題があるのでこれ以上書くのはやめておく。
ただ、気になったことを一つだけ追加しておこう。
冒頭の「世界女性器切除根絶の日」の説明の中で、「2003年にナイジェリアの大統領夫人であるステラ・オバサンジョの提案で始められ、国連人権委員会で国際的な啓発デーとすることが採択された。・・と書いたが、当時のナイジェリアの大統領はオルシェグン・オバサンジョであり、オグン州アベオクタ生まれ。ヨルバ族出身のキリスト教徒で、彼は10回以上の来日歴を有する親日家だそうである。
上掲の画像:オルシェグン・オバサンジョ元大統領(Wikipediaより)
ステラ・オバサンジョは、その後妻である。
以下参考に記載の※9:「NAIJA NEWSナイジャ(ナイジェリア)ニュース」のステラ・オバサンジョ☆死因は?・・に以下のようなことが書かれている。
“スペインの病院でナイジェリアのファーストレディ、ステラ・オバサンジョが外科手術中に死亡。
死因に関する検死報告書が提出され、外科手術を行なった医師ラモン・ロイへ医学博士の写真も含まれているという。博士はMolding Clinicの所長。報告書はまだ公表されていない“(2005/10/26)・・・と。
しかし、その後も、ステラの葬式のことや、埋葬先のことは書かれているが、ステラが何の外科手術をしていて、何故、死んだのかは何も書かれておらず謎のままである。
夫のオルシェグン・オバサンジョはオグン州のアベオクタ生まれで、ヨルバ族の出身らしいが、この、ヨルバ族について、以下参考の※10:「オンド州の州議会 - ナイジェリアの生活日記」には、以下のように書かれている。
オンド州はジェンダーセンシティブ【gender sensitive】な州で、
○ナイジェリアで初めて、女子差別撤廃条約(CEDAW)の国内法適用のための州法をパスさせた。
○子供の権利条約もパスさせた(女子教育の必要とか書いてある)
○女性の政治参加がかなり進んでいる。
オンド州はナイジェリア3大民族の一つ、ヨルバ族が主流。FGMは北部ではほとんどないのだけど、ヨルバ族に限っては60%近くが実施している。・・と。
ステラが何族の出身か知らないが、オルシェグンが西アフリカ最大の民族集団のひとつであるヨルバ族とすれば、ステラも女性器切除をしていた可能性が大きいのではないか?そうすれば、2003年に女性器切除根絶の啓発デーが採択されると、自身の性器を元に戻すための外科的な治療が行われたのではないか・・・?そして、それが失敗に終わり死亡に至った・・・。また、そこには、女性器切除根絶に反対する一派も絡んでいた・・・なんて考えるのは、考えすぎだろうか。どうも、推理小説大好き人間の好奇心を掻き立てる出来事ではある。
先日アルジェリアでのアルカイダ系の武装勢力による人質拘束事件(ここ参照)が起こり、事件に巻き込まれた日本人10人の死亡が確認されたことから、日本人の中東地域への関心も深まったかと思うが、ナイジェリアはこのアルジェリアに隣接(北側)している国・ニジェール( Niger)に隣接(北西側)している国である。
ナイジェリア(. Nigeria)の国名の由来は、国内を流れるよりつけられたもの。ニジェール川の語源は、遊牧民トゥアレグ族により、この川がニエジーレン (n'egiren) 「川」、またはエジーレン (egiren) 「川」と呼ばれ、これがフランス人に伝えられ、ラテン語で「黒」を意味するニジェール (niger) と転訛した。つまり隣国の「ニジェール」( Niger)と同じ意味で、本来は同じ地域を指しているが旧宗主国を異にする両地域が別々に独立した際に、現在のように別の国を指すこととなったものである。
このナイジェリアでも、昨・2012年2月北東部の市場で無差別攻撃(※11)で30人が死亡するなど、ここ数年、主にイスラム教徒が多い北部で、ボコ・ハラムによる銃撃事件や爆弾攻撃。・・といったテロ事件が相次いで起こっている。
イスラム過激派のボコ・ハラムとは、「西洋式の非イスラム教育」「西洋の教育は罪」といった意味Dらしく、従ってそのような西欧に対する敵意が、ナイジェリアのキリスト教徒の殺害や教会の破壊につながっているのだろう。
ナイジェリアはアフリカ最大の人口をかかえる国家で、人口は1億5千8百万人以上と世界第7位の大国であるが、約250の部族、民族が住んでおり、部族間、民族間の争いが絶えず、少数民族や少数部族が、不平等な扱いを受けているようだ。
主に北部ではイスラーム教が、南部ではキリスト教が信仰され、その他土着のアニミズム宗教も勢力を保っている。その構成は、イスラム教が約半数を占め、キリスト教が4割ほど、土地固有の伝統宗教が1割くらいの割合となっているようだ。
17世紀から19世紀までは、奴隷貿易の拠点となり、アメリカ大陸へ大勢の奴隷が売られていった。この奴隷貿易の拠点売買となったことに伴い植民地化され、イギリスの植民地となった。第二次大戦後独立はするが、今に至るまで紛争は絶えない。
「じゃぁ、アフリカに民主主義を導入すればいい」という単純なものではない。
第二次世界大戦前からあった独立への動きは、同大戦後になると他のアフリカ諸国と同様に、民主主義運動が高まり、1960年夫々が自治権を有する北部州、西部州及び東部州の3地域の連邦制国家として完全独立を果たした。
独立時は、イギリス女王を国家元首として頂く英連邦王国であったが、1963年に連邦共和国憲法を制定し、大統領制に移行した。それと同時に、西部州から中西部州を分割し、全4地域になる。
しかしながら、英国からの独立以降、地域間の対立が激化するとともに、選挙の不正に始まる政治の腐敗も深刻になり、第一共和制は混乱に陥って行った。
そして、それ以降、ナイジェリアの歴史の大部分は軍事支配一色となった。
始まりは 1966 年の第 1 回軍事クーデターで、複数の将軍とその支持者は国内に燻(くす)ぶる 250 の民族集団及び宗教コミュニティ間の緊張を制御できるのは自分たちだけだと豪語。その当時、北部はムスリム(「神に帰依する者」を意味するアラビア語で、イスラム教徒のこと)が多数派を占め、南部はキリスト教徒が多数派を占めていた。
このクーデターで北部人による東部のイボ人の迫害と虐殺が激化し、ナイジェリア内戦の契機となった。
民族間及び地域間の緊張によって分離独立運動が活発化し、1967 年、イボ族の ビアフラ共和国建国をきっかけに、3 年間に及ぶ血みどろの内戦(ビアフラ戦争)に突入し、壊滅的な飢餓状態が発生した。1970年にイボ族の敗北で内戦が終結。
1975年、軍の民政移行派(オルシェグン・オバサンジョ、ムルタラ・ムハンマド将軍らを含む)によるクーデターが成功し、前政権は打倒され、ムハメド将軍が最高軍事評議会の議長として執政に当った。彼の政策は民衆の支持を受け、彼の決断は伝説上の英雄に祭り上げられたようだが、彼が偽善的で汚職は続けられたとの批判もあるようだ。
1976年2月、ブカ・スカ・ディムカ中佐(後に処刑)を中心としたクーデター(未遂)で、ムハンマドは暗殺され、オバサンジョも殺害対象とされたが、これを鎮圧したオバサンジョが、最高軍事評議会議長・国家元首・国軍最高司令官を兼ねて最高指導者となり、彼による第一次軍政(1976年2月13日〜1979年10月1日)。が行われた。
その後も、1990年代末迄の間、多民族国家であるが故に生じる利害関係の縺(もつ)れ、それに加え貧困や汚職の蔓延に対する国民の不満の鬱積を背景に、長期に亙って政治と社会の両面で不安定な時期が続いた。
現在のナイジェリアが出現したのは、数年間にわたるイブラヒム・ババンギダ 将軍下の軍事支配を経て、大統領選挙が行われた 1993 年である。
南部出身のヨルバ人のイスラム教徒モシュード・アビオラが勝利すると見られたが、選挙結果は軍によって無効にされた。1993年11月、1980年代の2回のクーデターにもかかわったとみられるサニ・アバチャ将軍が実権を掌握した。
新憲法が制定され、民政へ移行したのは1999年のことだ。かつてのクーデター軍人オルシェグン・オバサンジョが、初の民主的選挙で、大統領に当選。
2003年の選挙でも再選した。しかし彼は民主派の希望でもあった司法長官ボラ・イゲが2001年に暗殺された件にかかわったといわれるほか、ナイジェリアの汚職と腐敗が彼の時代になって最悪になったといわれ、国民の感情は好悪半ばしている。オバサンジョは腐敗政治家を次々逮捕しているが依然政府の腐敗は深刻で、多くの頭脳流出を招いているという。
その後、2007年の選挙では敗れているが、この選挙を含め、その後の選挙でも、民族問題も絡んだ何かどろどろとした選挙戦が行われている。
そして、以下参考の※12:「英国内務省報告:出身国情報報告書 ナイジェリア」での人権についての記載を見ると、
2009年2月25日に公表された米国務省の人権実践に関する国別報告 、2008 ナイジェリア編 (USSD 2008)によれば、「ナイジェリア政府の人権記録は依然として劣悪であり、政府高官の重大な侵害行為は引き続きあらゆるレベルで確認されたという。そして、以下のように書かれている。
「最も重大な人権問題として、政権交代に対する国民の権利剥奪、治安部隊による超法規的所り、治安部隊による致命的及び過度の武力行使、自警団の民間人殺人、治安部隊の虐待行為に対する免責特権、受刑者、被拘禁者及び犯罪被疑者に対する拷問、強姦その他の形態の残忍で非人道的かつ品位を傷つける扱い、苛酷かつ生命を脅かす刑務所及び拘禁施設の現状、未決拘禁の延長を伴う恣意的逮捕、行政府が司法府及び司法の腐敗に与える影響、プライバシーの権利侵害、言論、報道、集会、信教及び移動の自由に対する規制措置、女性に対する家庭内暴力と差別、女性の性器割礼 (FGM)、児童の性的搾取を含む児童虐待、社会的暴力、民族、地域及び宗教的差別、売春及び強制労働目的の人身売買、並びに児童就労などが挙げられた。」・・・と。そして、これらについて詳細な事例が挙げている。
勿論、女性や、子供への暴力の中で、今日のテーマーである「女性器切除(FGM)」のことも詳しく書かれている。
24. 女性 概観 では、以下のように記載れている。
“2009年1月に公表された 2008年の出来事を扱う Freedom House 報告書 2009ナイジェリア編が述べたところによれば
「ここ数年で教育の機会を阻む壁は低くなってきたが、ナイジェリアの女性は現在も社会差別を受けている。一部の民族集団では、女性は財産の平等な相続権を与えられず、配偶者による強姦は犯罪とみなされない。正確な事例は周知でないが、女性器切除(FGM)を受けている女性は多い。 連邦政府は FGM に公然と反対するものの、この慣行を禁止する措置は講じなかった。
シャリア法(イスラム教における宗教に基づく法体系)を準拠法とする北部州では、女性の権利の深刻な後退が見られた。労働力及び売春目的の国内外の人身売買の増大が報告されている。政府は 2004 年に人身売買を非合法化し、加害者を罰する公的機関を設立したが、既存の規定は不十分である。UNICEF によれば、現在ナイジェリアの児童就労者は 1500 万人に上り、このうち 40%が人身売買の危険に瀕しているということである。
一部の組織の報告では、妊娠した 10 代の少女に堕胎を約束する違法な取引があり、出産まで拘束してその後平均 350,000 ナイ(2,400 米ドル)で売られるということである。」・・・と。
ま〜、FGMどころか、いまだに、子女を所有物として人身売買までされているのには驚かされるが、「ナイジェリアでは制定法、イスラム法及び慣習法の下に女性に対する暴力が容認されており、かかる行為を支持する規定も記載されている」・・・というのだから、表面的には法整備もされているように見えても、抜け道があり、非合法なことがされていても見て見ぬふりでは助からないよね〜。。・・・こんな国情を見ていると、大統領夫人のステラ・オバサンジョが外科手術で死んだ・・。しかし、その死因は発表されない・・・などというニュースを見て、私が、その死因に懐疑の念をもってもそうおかしくもない・・・とは思いませんか・・・・。
いずれにしても、平和な日本に住んでいることに感謝したい。
「英国内務省報告:出身国情報報告書 ナイジェリア」のこの章は別紙となっているので、以下参考の※13:「女性同性愛者、男性同性愛者、両性愛者及び性同一性障害者」を参照されるとよい。
用語説明
★1:IAC:The Inter-African Committee on Traditional Practices affecting the health of Women and Children(女性と子どもの健康に影響を与える慣習に取り組むアフリカ委員会)1984 設立。28カ国のNGOが参加()。
★2:女性性器切除の廃絶を求める国連10機関 (共同声明に参加した国連機関)は、国連エイズ合同計画(UNAIDS)、国連開発計画(UNDP)、国連アフリカ経済委員会(UNECA)、ユネスコ(UNESCO)、国連人口基金(UNFPA)、国連人権高等弁務官事務所(UNHCHR)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、ユニセフ(UNICEF)、国連婦人開発基金(UNIFEM)、世界保健機関(WHO)である。
参考:
※1:今日は何の日〜毎日が記念日〜
http://www.nnh.to/
※2:朝日新聞デジタル:女性器切除、禁止法制化求める 国連総会で決議案
http://www.asahi.com/international/update/1128/TKY201211280891.html
※3:国連広報センター|国際デー/国際年
http://unic.or.jp/unic/schedule;
※4:女性性器切除の廃絶を求める国連10機関共同声明(Adobe PDF)
http://www.jca.apc.org/~waaf/pages/activity/newsletter/10-Agency%204pages.pdf#search='%E5%A5%B3%E6%80%A7%E6%80%A7%E5%99%A8%E5%88%87%E9%99%A4%E3%81%AE%E5%BB%83%E7%B5%B6%E3%82%92%E6%B1%82%E3%82%81%E3%82%8B%E5%9B%BD%E9%80%A310%E6%A9%9F%E9%96%A2%E5%85%B1%E5%90%8C%E5%A3%B0%E6%98%8E'
※5:FGM廃絶を支援する女達の会
http://www.jca.apc.org/~waaf/pages/FGM/FGM.html
※6:女性器切除 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A5%B3%E6%80%A7%E5%99%A8%E5%88%87%E9%99%A4
※7:UNFPA国連人口基金東京事務所プレスリリース2007年2月
http://www.unfpa.or.jp/news/press.php?eid=00096#h2-1
※8:FGM(女性性器損傷)とジェンダーに基づく迫害概念をめぐる諸課題
http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/2065/34771/3/Honbun-5356.pdf#search='FGM%2FC%E3%81%B8%E3%81%AE%E4%B8%8D%E5%AF%9B%E5%AE%B9%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E3%83%87%E3%83%BC'
※9:NAIJA NEWSナイジャ(ナイジェリア)ニュース
http://plaza.rakuten.co.jp/bigafrika/backnumber/200510/
※10:オンド州の州議会 - ナイジェリアの生活日記
http://blogs.yahoo.co.jp/gidanaisha/60743923.html
※11:ナイジェリア北東部の市場で無差別攻撃、30人死亡か 目撃者証言(2012年02月21日 10:45 発信地:カノ/ナイジェリア)
http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2859490/8514681
※12:英国内務省報告:出身国情報報告書 ナイジェリア(Adobe PDF)
http://www.moj.go.jp/content/000056494.pdf#search='%E3%83%A8%E3%83%AB%E3%83%90%E4%BA%BA+%EF%BC%A6%EF%BC%A7%EF%BC%AD'
※13: 女性同性愛者、男性同性愛者、両性愛者及び性同一性障害者
http://www.moj.go.jp/content/000056496.pdf#search='%E5%85%90%E7%AB%A5%E3%80%81%E5%A5%B3%E6%80%A7%E5%99%A8%E5%88%87%E9%99%A4+%E5%90%84%E9%A0%85%E5%8F%8A%E3%81%B3%E5%86%85%E5%8B%99%E7%9C%81%E5%9B%BD%E5%A2%83%E5%B1%80%E3%81%AEFGM%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8'
女性性器切除の廃絶を求める国連10機関共同声明-日本ユニセフ協会
http://www.unicef.or.jp/osirase/back2011/1101_05.htm
女性移民労働 - 関東社会学会
http://kantohsociologicalsociety.jp/congress/53/points_section10.html
アムネスティ日本: 世界人権宣言ってなんだろう?
http://www.amnesty.or.jp/human-rights/music-and-art/passport/universal_declaration.html